内容説明
いまから120年程前、ふとした偶然から甲骨文が発見された。
これを機に研究が劇的に進み、殷・周の国の姿がうっすらと立ち現れてきた。
ところが解読の過程で、重大な誤りがまぎれこんでしまった。
正されたと信じられた古代史像にも歪みが生じた。
古代中国の年代矛盾を全面的・系統的に解決した著者は、天文学や数学的手法をも駆使して、厚いヴェールに覆われた殷周王朝の素顔に迫る。
いま明かされる真実とは――。
目次
はしがき
第1章 文字と呪術の時代
夏・殷・周三代
殷王朝の国家構造
周代の暦
散氏盤の年代と製作の経緯
第2章 殷滅亡の年代
周が殷を滅ぼした年代
前1023年克殷の史料
伐殷から克殷へ
『国語』の木星記事
再度『竹書紀年』を考える
第3章 霊的威圧による支配から官僚による支配へ
周の東遷
春秋時代の覇権
盟書の出現
律の登場と中央意識
文字と呪術の帝国
余話
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
62
殷・周時代の漢字の使用範囲を、従来は広く考え過ぎていたらしい。王朝だけで諸侯には使わせず、また使用の必要もなかった。春秋時代に独占が崩れ、漢字の使用範囲が広がったのだという。孔子が諸国を回って所説を説いたことと考え合わせるとおもしろい。口頭の言語とも連動していたのではないだろうか。私たちは秦や漢のイメージを、勝手に殷や周にも投影、適用していたのかも。2019/08/14
中島直人
8
ちょっと想像と違った。新たに得られた知見は少なく、また、著者の自己主張が鼻につき、没入することが出来なかった。残念。2015/06/07
BIN
6
甲骨文と金文から殷の構造、それと天文学と改元法を考慮した結果辻褄の合った年表などから見出されたことなどなかなか興味深い。克殷の年は前1046年で決まったと聞いたが、著者の説だと前1023年で説得力もあった。周が東遷するまで王朝が文字を独占していて東遷の混乱の結果、文字が各地に伝搬し、王朝の権威が極端に下がったと考えるのは納得がいった。2015/12/06
perLod(ピリオド)🇷🇺🇨🇳🇮🇷🇵🇸🇾🇪🇱🇧🇨🇺
4
2001年刊。本書は研究者が自らの成果を書きまくった感があり、一般読者は置いてけぼりになる。要するに微視的で難解。しかし一方で複数の史料を比較検討して整合性を求める手法を取っている。これはプロ・アマチュアを問わず日本の歴史研究に欠けている態度だ。とりあえず何箇所かまとめ的な記述がある部分まで読み抜こう。それでも『史記』『春秋左氏伝』は読んでいないとたぶんついていけない程度には難解。 第1章:文字と呪術の時代。 殷代の甲骨文字にえる「田猟」とは単なる娯楽ではなく軍隊を動員しての軍事演習だった。→2024/09/16
in medio tutissimus ibis.
4
夏殷周の三代は『史記』において理想の時代とされながらもその実在は疑われていたが、甲骨文などの発掘によりその実在性は今日大きく高まっている。然し乍ら、その素顔については春秋戦国時代から漢代において政権や思想の正当化のためにさかのぼって付け加えられた創作や、制度の変更を考慮に入れないために生まれた見かけ上の矛盾に覆われてしまっている。霊的威圧に基いた統治機構や後代とは区切り方の異なる暦の算法、所謂華夷秩序の形成など常識を刷新する挑戦的で刺激的な内容であるが、二章と余説の前半は内容が研究者向けでかなりマニアック2019/08/03




