内容説明
偵察機を撃墜され、毛沢東治世下の敵国に落下した、台湾空軍スパイ・鹿康平。彼は飢餓の大陸から母国に奇跡の帰還を果たす。そう、これはわたしの血族の話だ――。中国、台北、東京。鹿康平と彼をモデルに小説を執筆するわたし=柏山康平。ふたりの男の運命が絡み合う。凜々しく美しい女との恋。命を懸けた冒険。『流』はこの長編に結実した。東山彰良の黄金期を告げる圧倒的エンターテインメント。(解説・大矢博子)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
sin
51
記憶の中に留めた人生を編集出来ないのは事実だが、それさえ書き変わっているのかもしれない⋯虚構と現実は受け取り方に依ってはその立場を入れ替える。いや、直截に云ってしまえば虚も実も裏付けが無ければ同じ事だ。記憶と云う不確かな情報を元に事実の確定は不可能だ。作家は言葉を創るものだが感情まで創作しようとする。求め合うその言い訳に愛を創るのか?それは男女の執着ではないのだろうか?不倫だろうか?戦争なのか!振り下ろすバットの先はどちらを打ち壊そうとしたものか?希望と云う幻想を感じさせる物語らしい終わり方で幕を閉じる。2025/05/01
piro
27
台湾出身の作家・柏山康平の作中作『怪物』を中心に、現代の柏山の恋愛、そして叔父・王康平の中国・大躍進政策下での体験談が混然と語られる作品。現代パートでも小説パートでも、時折幻想の様なシーンが挟まれる事で心理的な深さと共に読み応えも増している感。ただエピソードを盛り込み過ぎていて散漫な感は否めない。そして柏山と椎葉リサ、鹿康平とシャオの関係が重なる様で重ならない辺りはちょっとモヤっとします。作家が小説を生み出す際のカオスや懊悩といったものを生々しく描く意図があったならば、その点では成功していると感じました。2026/07/16
しい太
3
作中人物が物語の書き手として悲愴的な作中事象を希望的に書き換えていく、というメタフィクショナルな構成に滅法弱いので(小説の醍醐味のひとつ)、その手法を徹底的に突き詰めたような本作が嫌いなわけはない。過去と現在、嘘と真実、愛と自由の物語。戦時の極限状況下、叔父さんは本当に怪物を撃ったのか? 怪物は叔父さんに大量殺人を強いたのか? 主人公の作家は自身の恋愛や見聞を経て怪物の真実を書き換えていく。前書き通り夢オチ……というか虚実曖昧ではあるが、それでもやはり物語だ。2025/10/21
鷹ぼん
1
※感想は後日w2026/07/08
ゆう
1
始めて読む作家さん。中国、台湾、日本、時代が交錯し、恋愛小説かと思えばハードボイルドで、夢なのか現実なのか。夢オチ前提だけど、あまり好みではなかった。2026/07/13




