内容説明
自閉スペクトラム症のサンデーは白いものしか口にしない。娘と二人ひっそりと暮らしている。ある夏の日、唐突に現れた自由奔放な隣人によって日常は侵され、娘は隣人にひかれていく。自身も同じ特性をもつ著者のブッカー賞ノミネート作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
100
原題は、"All the Little Bird-Hearts" 。昔からイタリアでは鳥はペットとして迎えられないし、"邪視"の呪いをもたらすと信じられている。「どんなに美しくても、その夏、その人が鳥のような心臓の持ち主だって知ったのは後になってのことだけど、その人のために生き、その人を愛した」最後に思いもかけない顛末が明らかにされるが、著者は自閉スペクトラム症ASDで、主人公のサンデーもASDを持ち複雑な過去を抱えている母親である。娘ドリーが隣人夫婦と親密になり、母親から離れていく描写に引き込まれた。2025/05/13
帽子を編みます
52
感想にとまどいます。受ける印象は美しい、痛い、悲しい、そして受け入れる。『わたしは常に人々から後退している。この世界全体は回転する部屋の集合体で、その一室一室にわたしはいつも誤って入ってしまっている。』こんな繊細な文章が続いていきます。主人公、16歳の娘、隣人夫婦、元夫の家族、そして主人公の今は亡くなった家族たち。母に罵られるところ、胸が痛みます。あのときあんな風に振る舞えていたならの思いが常につきまといます。日常と回想、明かされる過去、そして続くと思われた生活の断絶。それでも、また会える続いていきます。2025/07/21
ヘラジカ
48
遣る瀬無い。思わず身を入れて読んでしまい、当の主人公サンデーが表現する以上に、残酷な現実に憎悪や絶望を抱いてしまったが、果たして周囲の人間、取り分け娘ドリーの視点から見たとしたらどうなのか?それを考えると尚更に気分が落ち込んでしまう。もう一人の憐れな女性にしてもそうだ。彼女の内側、痛ましいコンプレックスを考えると、単純な感情が急激にしぼんでいく。読者にここまで想像・共感させるとは、なんて緻密な心理的ドラマだろうか。この”特性”を持った人間の内面や日常を在り在りと描き切っただけではない見事な作品だ。2025/03/22
Hiro
25
劇的な事件が起こることなく静かに物語が進んでいくけど、全く退屈ではなく、あっという間に読了。ASDの主人公サンデーがつらい境遇を送ってきたことに心が痛みつつ、娘ドリーがどんなに孤独だったかも理解できる。読む価値のある本!2025/05/06
星落秋風五丈原
24
自閉症の母サンデーと健常児の娘ドリーの隣に夫婦が越してくる。最初はいい人に思えたが、次第に妻は娘と親しくなり。ブッカー賞候補作。2025/07/18
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