新潮文庫<br> 街とその不確かな壁(上)(新潮文庫)

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新潮文庫
街とその不確かな壁(上)(新潮文庫)

  • 著者名:村上春樹【著】
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 新潮社(2025/04発売)
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  • ISBN:9784101001784

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内容説明

十七歳と十六歳の夏の夕暮れ、きみは川べりに腰を下ろし、“街”について語り出す――それが物語の始まりだった。高い壁と望楼に囲まれた遥か遠くの謎めいた街。そこに“本当のきみ”がいるという。〈古い夢〉が並ぶ図書館、石造りの三つの橋、針のない時計台、金雀児(えにしだ)の葉、角笛と金色の獣たち。だが、その街では人々は影を持たない……村上春樹が封印してきた「物語」の扉が、いま開かれる。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

Major

115
「わたしの実体は─本物のわたしは─ずっと遠くの街で、まったく別の生活を送っている。」きみのその言葉が、ぼくの全てを狂わせた。影を引き剥がし、壁に囲まれた街へ足を踏み入れる。そこは「わたし自身」という不自由な概念から解放された、深遠な夢読みの世界だ。死者にのみ確固たる名を与え、生者を匿名にする虚実の反転。現実という狭い実世界を包み込むのは、豊穣な意味が息づく不確かな虚世界。ぼくはそこで君と語らい、己の深淵と深く対峙する。この手記は、輪郭を失った魂が真の実存的自由を獲得するための、果てしない模索の記録だ。2026/08/25

シナモン

98
あまり読まない村上春樹さん。読書の秋だし!と挑戦。なかなか物語のなかに入り込めなくて苦労しました。壁の中と外。虚構と現実。影。 静かでふわふわとした読み心地を味わいながら下巻へ。2025/11/10

ふう

79
静かで、モノトーンの映像を思わせるような物語でした。明るい色は薪ストーブの炎だけ。街を囲む壁や人から離れた影の存在が意味するものが何か、(上)ではまだよくわかりませんが、惹き込まれて、物語の中で主人公の隣をいっしょに歩いているような気持ちで読んでいました。村上作品の中で、わたしはよく迷子になるのですが、今のところは大丈夫。2025/07/27

nobi

75
1頁目から「沈黙の奥から」見つけてきたような美しい言葉の連なりが心に沁みる。彼女との逢瀬も手紙のやりとりもファンタジック。直前に読んだガルシア・マルケスが描く殺傷口論不満諦め満載のリアルな日常とのなんという違い。とは言え“影”は肉体なのか、それを失った者の夢なのか非現実なのか、不確かな壁の中の街をあまりに長く彷徨い過ぎでは、という落ち着かない気分もあった。漸くそこを抜けて現実の世界に戻ったような展開にほっとしたのも束の間、不穏な影が見え隠れする。その不穏さ含めて、半ば夢のような世界が続くものと思っていた。2025/05/30

Vakira

66
細胞は膜(壁)があることで生命に必要な物質が逃げ出すことを防ぎ、それによって魂を保有することが出来る。外部と隔たる膜がなければ僕らは僕らという形を保てない。そして、生命意思を持つことが出来なかったのだ。さて、春さんの長編最新作が文庫となりました。大好きなコボさんの芥川賞受賞作の題名は「壁」でした。「壁がいかに人間を絶望させるかというより、壁がいかに人間の精神のよき運動となり、人間を健康な笑いに誘うかということを示すのが目的でした」と、コボさん談。では、春さんは?如何に~?と思い、読順変更して読む事に。2025/05/07

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