内容説明
映画『ジョーズ』に登場した、巨大で恐ろしい人食いザメに代表されるサメのイメージ。流線型の体と長い背びれをもった、美しいシルエット。どちらもサメの典型的なイメージだ。しかしそれだけではない。食卓に上るサケやサンマ、アジなどの硬骨魚類とはことなった軟骨魚類であり、もっとも長寿の脊椎動物であり、もっとも速く泳ぐ魚類の一つでもあるサメ。その特異な生態をサメ研究の第一人者である著者らが詳細に解説する。
また、硬骨魚類から分かれ、エイと分岐し、どのように現在の多様性をもつにいたったのか? さまざまな古代ザメを紹介しながら、その進化の道筋をたどる。
さらには世界初の人工子宮によるサメの繁殖を試みている美ら海水族館の研究者ならではの内容として、サメの繁殖にも1章をもうけている。
機能形態・生態・分類・繁殖と、専門的にかつ網羅的に解説した、類を見ない一冊。水族館でも最も人気のある魚種であるサメの総合解説書として刊行いたします。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
45
新刊コーナーより。大満足です。沖縄美ら海水族館からは面白い研究がたくさん出ていますが、そこまできちんと追っていなかったので人工子宮が成功していることにはのけぞってしまい、本を読んだ後色々検索してみました。サメという非常に謎が多く、繁殖方法がまだ特定されていない種の存続のために努力されている人たちがいるんですねえ!読みごたえのある一冊です。冒頭にニューネッシーが出てきて懐かしかった!2025/07/13
特盛
33
評価3.3/5。サメの研究者によるサメの解説本。実に色んなサメがいるが、あんまりよく分かっていないのだな。鼻が実は言うほどよくない代わりに、電気を皮膚でセンシングしている感度が非常に強いというのは驚き。電気を感じる環世界を想像し、不思議な気持ちになった。いずれにせよ、海で出会いたくないものである。2025/06/19
翠埜もぐら
21
今年3月出版なので本当に最新データで書かれていて、その上ど素人にもわかりやすく面白くて図書館本なのだけれど購入しようかと悩み中。遺伝子解析が一般化して動物の分類が急激に変更されつつありますが、それでも遺伝子解析ができないほど古い化石などは形態からの分析がまだまだ重要なようです。それにしても外洋のサメなんか生態も繁殖方法も解からないことだらけ。卵生と胎生があることは知っていましたが、胎盤があるって・・・魚類に胎盤?子宮内に子育て用のミルクって。あぁ世界って楽しいわぁ。2025/06/17
Tomomi Yazaki
19
サメ。なぜか気になる存在。太古からその姿をあまり変えていない。逆に言えば、完成された生き物。そんなサメについて、私はかなり詳しいと自負していましたが、知らないことが結構ありました。歯一つとってみてもその形状だけで一冊の本が出来てしまうほど多種多様。サメの腸は螺旋状!これはテスラバルブに通ずる原理でもある。分類についても客観的な分子生物学からのアプローチが楽しめました。生殖方法についても新しい発見が期待できます。ただ、肺が浮袋から進化したとか、始祖鳥が鳥の先祖だとかは、著者の明らかな間違いで、ちょっと残念。2025/07/18
テイネハイランド
18
図書館本。沖縄美ら海水族館で働くサメの研究者二人による共著です。第1章「サメの機能形態学」第3章「サメの進化史」を冨田氏、第2章「サメの分類と形態の多様性」第4章「サメの繁殖方法と進化の謎」を佐藤氏が担当しています。冨田氏の担当部分、とりわけ第1章が一般人にも興味が持てるようなわかりやすい記述(例:電場センサーとしてのロレンチーニ器官の紹介)で書かれていて読んでいて楽しめますが、サメについてはまだまだわかっていない事柄が多いので結論だけを取り上げてみるとやや肩透かし気味かなという印象を受けました。2025/06/22
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