わたしたちの中絶――38の異なる経験

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わたしたちの中絶――38の異なる経験

  • ISBN:9784750358598

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内容説明

産む・産まない・産めないを、国家や医療、他者が管理しようとするこの世界で、「わたしたち」は自身の経験を語る。日本における中絶の歴史を振り返り、当事者の声と、支援者や研究者、取材者などの立場で様々な中絶を見聞きした人たちの声を収録。

目次

はじめに[石原燃]
第Ⅰ部 中絶をめぐる長いお話[大橋由香子]
第1章 妊娠したら産むしかない?――堕胎罪と優生保護法
第2章 中絶を禁止する動きと女たちの抵抗――表現と記録
第3章 わたしの身体、わたしが決める――リプロとSRHR
第Ⅱ部 わたしの経験
第1章 自由に産めないのなら、とコンドームを買った[光江]
第2章 目が覚めて、「この世に戻れた」と思った[麻鳥澄江]
第3章 手話通訳はなく、説明がわからない[柴田邦子]
第4章 中絶は自分で自分を生きていくための“点”だった[遠藤知子]
第5章 中期中絶に到った経緯とその後[白銀]
第6章 痛みはまったく感じないという不思議な経験[安藤能子]
第7章 紅茶があったかくて、甘くてほっとした[井上れいこ]
第8章 とにかくお金がまったくなかった[川上真由美]
第9章 性暴力を愛情だと偽らなければ生き延びられなかった[水野恵子]
第10章 自分の体のために中絶と不妊手術をするしかない[S・S]
第11章 もう子どもが産めないのではないかと、ずっと不安だった[ハナコ]
第12章 生理が止まって、本当にビビった[K・R]
第13章 二度の中絶、そのときはその選択しかなかった[チャップ]
第14章 後悔も罪悪感もない[田中青]
第15章 「中絶」という言葉でひとくくりにされるのが辛かった[匿名]
第16章 全身麻酔をしないで中絶手術を受けたい[横山恵]
第17章 産婦人科医のわたしが、中絶なんて[河合亜矢子]
第18章 「水子供養などしてなるものか!」と強く思った[長田真紀子]
第19章 障害がなくても、一人で育てるなど無理だった[K]
第20章 ようやくその日になっても泣かなくなった[遠藤リト]
第21章 罪悪感に押しつぶされそうだった[浦井英子]
第22章 頑張っていたから、学校生活をまっとうしたかった[須藤あゆ]
第23章 南アフリカのクリニックで中絶薬を飲んだ[伴優香子]
第24章 自分の選択が正しかったのか、思い詰めた[太田恵]
第25章 何を言っても誰かが傷つきそうで表現が難しい[春日そら]
第26章 中絶を選ぶ人が悲しむことのない社会に[匿名]
第27章 わたしは何も悪いことはしていない[M・O]
第28章 早すぎて今できることはないと言われた[井川玖美]
対談 経験を語るということ[イ・ラン×石原燃]
第Ⅲ部 様々な経験に接して
第1章 孤立出産[加地紗弥香]
第2章 若年女性と沖縄での中絶[篠原芙由]
第3章 一〇代の妊娠葛藤[中島かおり]
第4章 中絶をめぐる裁判[岩崎眞美子]
第5章 日本における移民女性の中絶[田中雅子]
第6章 優生的な理由での中絶[大橋由香子]
第7章 トランス男性、ノンバイナリー当事者の中絶[吉野靫]
第8章 国際団体による中絶支援――なぜわざわざ海外に[加藤雅枝]
おわりに[大橋由香子]
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

82
表題の「わたしたち」には、当事者だけでなく、男性、医療従事者、社会などすべての人々が含まれていることを読後感じた。中絶を経験した38人の体験談はもちろん異なるが、日本の中絶は費用が高く懲罰的な面があり、世界中で認められている中絶薬が認可されてもハードルが高く、必要のない同意書を求められることなど問題だらけであることを初めて知った。映画「あのこと」や「17歳の瞳に映る世界」でも、いつの時代も若い女性に負担がかかる。SRHRという概念「自分の身体は自分で決める」という考えが葛藤を少しでも和らげればいいと思う。2025/05/25

きみどり

15
戦中の産めよ増せよから一転、戦後は産児制限のため優生保護法(現・母体保護法)が作られ、70年代末に少子化の気配が漂い始めるや今度は中絶の制限へ(先人たちの反対運動に感謝)。その頃に「水子供養」なる宗教ビジネスが興ったというのは知らなかった。中絶への罪悪感を掻き立て、お金をむしる。ゲスの極みやな。それにしたってこの国には女性の身体の自己決定権という考えがいまだ根付いていないのかと暗澹たる気持ちになる。望まない妊娠には、無理解で時に暴力的な男性が必ず存在するのに、罰せられるのは女性。2025/07/14

すーぱーじゅげむ

13
編集意図としては、産む・産まないを決めるのは女性の権利である、というもの。そして、38の中絶経験談。夫がDVとか、経済的に豊かでないのにすでに5人子供がいるというのは中絶の権利は当然あるだろうと思いました。けど、キャリア的に今じゃないとかは、子育てが妻ばかりに負担がかかる現状、金銭的問題、孤立、とか子育てのインフラが整ってたらまた違うのかなと思いました。どちらにしろ掻派法は痛そう。そして男たちよ、あなたのせいでその子は手術しなきゃいけなくなったんですよ。2025/07/09

CBF

3
(★★★☆☆) 産む・産まない・産めないを、国家や医療、他者が管理しようとするこの世界で、自身の経験を語る。日本における中絶の歴史を振り返り、当事者の声と、様々な中絶を見聞きした人たちの声を収録ー。 読んでいるだけでお腹が痛くなるような壮絶な体験も綴られていた。本来は男性含め、妊娠や中絶に一生無関係な人ってほぼ居ないはずだけど、知られていないことが沢山。 『...堕胎罪には登場しない(罰せられない)妊娠の相手男性が、中絶するときには最終決定権を握るという摩訶不思議な仕組みが、八〇年以上、今も続いている。』2025/07/10

だーやま

2
高校生のエピソードが印象的だった。「わたしのからだの主人公はわたしであって、わたしが妊娠を継続しない決断をしただけのこと」。中絶を選択するとき、それが周りの人の意見や社会からのスティグマに影響されてはいけない。本人が納得できるものでなければならない。助産師1年目、出産も中絶も死産も様々あった。わたしは医療職としてフラットに患者と接することができているだろうか。2025/03/22

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