文春新書<br> 右翼と左翼の源流 近代日本の地下水脈II

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文春新書
右翼と左翼の源流 近代日本の地下水脈II

  • 著者名:保阪正康【著】
  • 価格 ¥1,001(本体¥910)
  • 文藝春秋(2025/03発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784166614875

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内容説明

戦後80年に読みたいベストオブベスト!

知的エリートたちに蔓延したマルクス主義の勃興と敗北、陸軍青年将校らの心をつかんだ北一輝の国家社会主義、そして井上日召らテロリストの横行――。
戦前日本のテロルから安倍晋三首相暗殺までを貫く「保阪近現代史」の決定版!

日本はなぜ無謀な戦争に突っ走り、負けたのか? それから80年経った今、なぜ日本は同じような失敗を繰り返しているのか?――近現代史の第一人者である保阪氏は、「地下水脈」という歴史観にたどり着く。
明治初期、「日本をこれからどのような体制の国家にするか?」をめぐって“主導権争い”がおこなわれた。
著者はこの間に、次の5つの国家像が模索されたと考えている。

1 欧米列強にならう帝国主義国家
2 道義や倫理を尊ぶ道義的帝国主義的国家
3 自由民権を軸にした民権国家
4 アメリカにならう連邦制地方分権国家
5 攘夷を貫く小国家

実際の歴史では、日本は1を歩み、すべてが軍事に収斂していくことになる。その結末が、昭和の悲惨な敗戦であった。
では、残る2~5の国家像は、そのまま消えてしまったのか?
そうではない。
これらの地下水脈は反体制運動に流れ込んだ。社会主義者、マルクス主義者、アジア主義者、国家社会主義者、アナキスト、農本主義者たちは、地下水脈を受け継ぎながら、社会の変革を企図していったのである。

「地下水脈」という歴史観でとらえれば、左翼運動の失敗も国家社会主義と軍の結託も、昭和天皇の「人間宣言」の意図も、そして安倍暗殺事件の奥底にあるものも、クリアに見えてくる。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

116
日本の政治思想史を「地下水脈」の視点から解析する。帝国主義を志向した明治国家は明確な責任者が不在だったため、暴力組織である軍が天皇のためという大義を掲げて好き勝手に暴走する事態を招いた。一方でキリスト教や自由民権運動、共産主義と国家社会主義など海外の多彩な思想が流入し、帝国主義に代わる国民を統一する理想の国家像を描けなかった反体制派も自分たちだけが正しいとする唯我独尊に陥った。結果、動機が正しければ実力行使も容認される考えが左右を問わず脈々と流れ、テロや内ゲバを起こした果てが安倍元首相暗殺事件だったのだ。2025/04/29

skunk_c

61
実にこの著者ならではと言うべき日本近代思想史だ。見事なまでの「保守正統派」の姿勢が貫かれている。特にテロリズムに対しては、はっきりと「ダメのものはダメ」と言いきり、特に昭和初期以降のテロリズムに深い思想性を感じないという評価は納得。そして現代のテロに危機感を抱いている。一方で共産党は言うまでもなく、著者の「社会党嫌い」が全開なのが終盤。転向に対してはその本人の苦しさを理解しつつ、転向しないことに価値観を見いだす共産党の姿勢には賛同していない。様々な思想的系譜が整理されていて、かなり勉強になった。2025/04/08

kawa

34
明治以来の右翼と左翼の流れが大づかみに把握できる。大正時代には両派が一つの組織で呉越同舟の時代もあったと言う。昭和初期の陸軍の統制派と皇道派の対立もその構造が整理できて良かった。皇道派が試みた昭和維新も自らの思想を磨き抜くのではなく、民間の思想家の安易な利用の構図が印象的。同時に読んでいる永田鉄山氏の評伝の読みにも役立つ一冊。2025/05/06

kuukazoo

17
近代以降の日本の反体制運動について4つに分類(国家社会主義、社会/共産主義、農本主義、アナーキズム)し、政府からの弾圧下で潜在化したり顕在化したり合流したり分岐したりといった流れを歴史に沿って(自由民権運動~戦後1950年代くらい)解説。右翼/左翼は水と油と思っていたがどちらも社会格差の解消を目的にしていたと知り驚く。満川亀太郎の名は初めて知ったがキーマンじゃないか。共産党と社会党の歴史も知らないことが多い。コミンテルン圧こわいよ。日蓮主義や攘夷も亡霊のように出てくる。興味深い分野なので芋づる読書の予感。2025/05/12

Go Extreme

2
体験者の感情と観念の時間経過 太平洋戦争が近代帝国主義を終結 富国強兵と工業化→社会の歪み 亡国の認識なきは即ち亡国の儀 民殺すは国家を殺す 愛の欠如が矛盾の根底 力なき国際社会での不条理の現実 天皇制武装化による総力戦体制 米騒動→大正政治の転換点 反体制勢力の大同団結と思想の地下水脈 動機至純主義という危険な地下水脈 コミンテルンの中央集権と絶対服従 天皇制への畏敬からの思想的葛藤 治安維持法による予防拘禁の効力 転向という言葉の否定的ニュアンス 社会主義の存在意義の喪失 表層的な転向と真の自己変革2025/05/09

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