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内容説明
義に厚い一方で、贋金づくりや殺人などの犯罪行為を繰り返す任侠。前漢時代の大任侠・郭解の生涯を辿りながら、彼らの実態に迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
131
強者から理不尽に抑圧されていると感じる者は、怒りや憎悪を抱えて耐えるしかない。そんな惨めな思いから救ってくれる民衆の代弁者として、古代中国では任侠を生んだ。下層出身の乱暴者だが人を従える人格を備え、勝手し放題の権力者を痛い目に遭わせ、時には命を賭けて自分たちを救済してくれる人物を大親分として崇めたのだ。宮刑という恥辱を受けた司馬遷が『史記』で好意的に描いた任侠の姿から、法や秩序の及ばぬ世界を解明していく。支配者と被支配者の関係は一方的ではなく、国も時代も民族も超越して敢然と立ち上がる英雄と見なされたのだ。2025/06/12
kuroma831
29
超面白かった!著者の前著「古代中国の24時間」の実質的な続編。史記游俠伝に立伝されている武帝期の任侠である郭解の人生を軸に、贋金作りから暗殺の依頼、刃傷沙汰まで漢代基層社会の裏社会をたどる。任侠は完全に世相から遊離しているわけではなく、衛青や袁盎などの時の権力者と繋がりを持つこともあり、郡県レベルの地方行政に影響を及ぼすこともあった。井波律子の中国侠客列伝など個別のエピソードトーク本は割とあるが、前著と同じく圧倒的な注釈のボリュームによって質を担保された、小説のやうな生活感の伝わる描写が非常によかった。2025/03/26
ようはん
22
裏社会を中心にした視点から古代中国の社会について前漢時代を代表する侠客であった郭解を中心に語られる。偽金作りや暗殺稼業といった不法行為に手を染めて当時の恩赦システムを巧みに利用して渡り歩く郭解はまさにヤクザ的なワルであり法家や儒家とは相容れずに最後は処刑されたが、義侠心に溢れ筋を通す生き様故に民衆の人気を得たのは日本における国定忠治等の任侠ヒーローに通ずる物がある。2025/08/08
さとうしん
22
『史記』游侠列伝で取り上げられている侠客・郭解の半生をたどりつつ当時の文化や社会、歴史を紹介するという趣向。前著『古代中国の24時間』とは打って変わって刺客による暗殺だとかニセ金造りだとか何やらきな臭い話題が中心。ニセ金造りで捕まった人が国家による銭の鋳造に従事させられていたという話が面白い。著者の『史記』の読み込みぶりも読み所となっている。終盤では郭解の生涯と関連付ける形で刺客と游侠の違い、そして現代のネットによる私的制裁へと話が広がっていく。2025/03/16
電羊齋
21
前漢期の伝説的任侠である郭解の一生を軸に、古代中国の裏社会を紹介していく。任侠の徒による暗殺、盗掘、偽金作り、地方行政や中央政界とのつながりなどからは、任侠の行動原理である「義」と非合法的収入源(ヤクザでいうところの「シノギ」)、そして任侠が持つ隠然たる力がうかがえる。また、本書は、郭解ら前漢の任侠、犯罪者、役人、官僚、そして武帝ら有名人たちの群像劇としても読める。前著『古代中国の24時間』同様、著者の史料・文献・考古学的成果の博捜ぶりと読み込みぶりにはただただ驚嘆した。2025/04/12




