内容説明
ここは、夜だけひっそり看板を出す、あなたのための隠れ家診療所「満月クリニック」。閑静な住宅街にあるアンティークショップの奥で待っているのは、穏やかな笑顔の医師・赤崎だ。目指したのは、何でも気軽に相談できる、友だちのような町医者。今夜も彼のもとには、いつも気になりながら後回しにしていた様々な症状を抱えた患者たちが、引き寄せられるようにやってきて――。日常×医療が織りなす、ハートフル・ストーリー!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みかん🍊
79
アンティークショップの奥にある満月クリニックは日没から診療が始まる、医者の赤崎は患者の話をゆったり聴いてくれ分かり易く説明してくれる、保育園からの熱の呼び出しにつかれたワーキングマザー、合わない仕事とハードな通勤に疲れた女性、育休中の男性、メタボな作家、目のかすみを感じる女性などが訪れ心身の病だけでなくメンタルも癒してくれる、こんな診療で生活していけるのか心配になるが、オーナーはアンティークショップの福尾、利益を求めているわけではない、こんなクリニックがあれば救われる人はたくさんいるだろう。2025/04/23
Karl Heintz Schneider
37
住宅街にひっそり佇むアンティークショップ。その奥になぜか診療所がある。営業時間は日没から日の出まで、その名も「満月クリニック」。看護師はおろか医療事務員すらいない。小児科医の赤崎がひとりで患者に対応する。コンセプトは何でも気軽に話せるまちのお医者さん。でも彼がここに来たのにはワケがあって・・・。「もし寺本さんに足りないものがあったとしたら、話し相手じゃないですかね。」ほぼワンオペで2歳半の娘を育てる母親に赤崎がかけた言葉。彼女と一緒に読んでいるこちらもジワっときた。2025/07/28
mayu
25
アンティーク雑貨のお店の片隅で夕方から朝まで営業している異色な雰囲気の満月クリニック。赤﨑先生に日頃気になっている症状を相談して気持ちが軽くなっていく人達の物語。病院には病院の都合があるんだろうけど、症状があって辛い中病院に行ってるのに患者に寄り添ってくれる病院に出逢った事は無い。今作に出てくる人達の様にせっかく病院に行ったのに、気持ちを落ち込ませて帰ってくる事あるよねぇと共感しながら読んでいた。こんなクリニックが近くにあったら心強いだろうなぁ、あったらいいなと強く思った一冊。2025/03/28
akiᵕ̈
24
日没から世が明けるまでの夜間に診察している満月クリニック。医師として自信を失くした赤崎が、アンティークショップと、このクリニックを経営しているオーナーの香織から誘われてたった1人で、ここを訪れる人たちの心に明かりを灯してくれる。悩みを抱え体に不調が現れ始めた、主婦、OL、育休中のパパ、ライトノベル作家たちが、大事に至る前に、優しく向き合って話を聞いてくれる赤崎に心もほぐれ治療に向き合っていく。患者さんが求める病院ってこういう風に話をキチンと聞いてくれる人や、向き合い方をしてくれるとこだよなァと切実に思う。2025/04/11
onasu
12
アンティークショップの奥で開業する「満月クリニック」は、日没から小児科、内科、健康相談を赤﨑医師一人で担っており、都心でも住宅街に立て看板を出しているだけで…。 最初に通り掛かったのは、仕事を早退して子供を保育園に迎えに行った母親で、子育てに悩んでいたところを…。 もっと時間をとって、とは特に患者側が思うところだが、昨今の医療事情では益々難しく非現実的とは思うものの、各編、それを上回る物語に仕上がっており、店長の香織(赤﨑父(故人)の知己)や開業の謂れ等、伏せられたままの曰くも楽しみに続編を待ちたい。2025/07/30