なぜジェンダー教育を大学でおこなうのか - 日本と海外の比較から考える

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なぜジェンダー教育を大学でおこなうのか - 日本と海外の比較から考える

  • 著者名:村田晶子/弓削尚子
  • 価格 ¥2,640(本体¥2,400)
  • 青弓社(2017/06発売)
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  • ISBN:9784787234193

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内容説明

近年、「女性活躍」が叫ばれる一方で、会社・企業では女性や性的マイノリティーへのハラスメントが後を絶たず、有名大学の男子学生による性犯罪もたびたび報道されている。また、女性蔑視のCM・広告・コンテンツが「炎上」することも多い。「男女格差が世界で111位」という日本の現実を私たちは生きているのである。

ジェンダー・センシティブな視点はなぜ必要か、それを学生が身につけるには教育カリキュラムをどう組み立てるのか、学生たちの主体的な学びをどう引き出して並走するのか。

アメリカ・フランス・中国の大学でのジェンダー教育の歴史や実践例を紹介し、国内の教育の実情、社会人教育・男性学の視点、LGBTIの学生への対応も提示して、ダイバーシティー環境の整備=社会の多様性に直結する大学でのジェンダー教育のあり方を提言する。

目次

はじめに 弓削尚子

第1章 北米の大学における女性学およびジェンダー研究の歴史的系譜と現在 シャラリン・オルバー[ゲイ・ローリー監訳、宮下摩維子訳]
 1 北米の大学における女性学の現状
 2 北米の女性学の歴史的系譜
 3 女性学およびジェンダー研究をゲットー化しないために

解題 シャラリン・オルバー氏の知の冒険 ゲイ・ローリー

コラム ドナルド・トランプの時代の女性学およびジェンダー研究の展望 シャラリン・オルバー[ゲイ・ローリー監訳、宮下摩維子訳]

第2章 フランスにおけるジェンダー教育の軌道――高等教育機関を中心に クリスティーヌ・レヴィ
 1 ジェンダー研究をめぐる環境とジェンダー教育の歴史的・社会的背景
 2 高等教育機関での新しい動き

解題 「もう一つの可能性」としてのジェンダー・スタディーズ 矢内琴江

コラム フランスでのジェンダー概念をめぐる論争 クリスティーヌ・レヴィ

第3章 グループを育て、社会とつなげる――大学でのジェンダー教育を活性化する新しい試み 柯倩★女偏に亭★[熱田敬子訳]
 1 若者の悩みに答え、注目の社会問題に介入する――授業の主題設定
 2 グループを育成し、学生の主体性を育てる――教育方法の探究
 3 社会とつながり、ボランティアから学ぶ――知識と行動の転化
 4 ボランティア学習の事例――『とことんヴァギナ・モノローグス』の上演と社会への貢献

解題 『まんこ語り』が育むフェミニズム・アクション 熱田敬子

コラム 中国における行動派フェミニストの成長とジェンダー・バックラッシュ 熱田敬子

第4章 男性学・男性性研究とジェンダー教育の重要性 伊藤公雄
 1 男性学・男性性研究の誕生と発展
 2 男子・男性を対象にしたジェンダー教育の重要性

コラム 学生と性暴力 弓削尚子

第5章 日本の大学におけるジェンダー教育の課題――社会を変革する希望の糧に 村田晶子
 1 ジェンダー教育をめぐる日本国内の状況
 2 高等教育におけるジェンダー教育の取り組み
 3 日本の高等教育におけるジェンダー教育/研究の課題

コラム 学生が作る「ダイバーシティ・マップ」 安野 直

終 章 高等教育とジェンダーをめぐる今後の課題――国際シンポジウムでの議論を踏まえて 森脇健介
 1 ジェンダー教育の歴史と現在の課題
 2 フランスにおけるジェンダー・マスターコースの設置と専門職教育
 3 『ヴァギナ・モノローグス』の実践と授業の方法論

むすびにかえて 村田晶子

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

katoyann

19
早稲田大学で行われた「高等教育とジェンダー」という国際シンポジウムの講演録を書籍化したもの。欧米と日本のジェンダー教育の歴史と現状が詳しく書かれてある。アメリカは第二波フェミニズムの興隆を受け、1970年代から大学で女性学が開講され、436校で「女性学を主専攻とする学士号」の取得が可能だという。ジェンダー学の修士号も含め、学術として認知されているレベルにおいて日本とのギャップを感じる。なお、ジェンダーは「男女平等とセクシュアル・マイノリティの人権を保障するための武器」(72頁)と位置付けられる。良書です。2023/09/10

Rammstein

6
早稲田大学にて2016年12月に行われた国際シンポジウムのまとめ。男女共同参画が謳われている現代であっても、女性の社会参画ならびに女性だからという差別は残る。そこで大学が学生への知の伝授だけでなく、体験の共有ならびに実践をする機会を提供できればより良いジェンダー教育となるだろう、と本書は考える。/ 個人的に興味深かったのは、4章の「社会的マジョリティと思い込んでる男性が変革していかなければ、男性性の不安定性を解消できない」という結論に至るまでの過程。日本特有のジェンダー問題の事情というのも知れる。2019/02/16

nranjen

4
W大のシンポジウム。北米、フランス、中国の取り組みが紹介されている。中国、面白そう。フランスは国をあげて企業人向け取り組みがあるそうだが、この学会後、マクロン政権になって新たに色々やってそうな気もする。女子大でジェンダーの授業があるというのは聞いたことがあるけれど(一部かもしれないけど)今、共学でもあるのだろうか。ちなみに自分が大学生だった時はなかった。往往にしてジェンダーというと男性陣が恐れをなし、シンポジウムに行けばほとんどが女性という構図が展開されている。いつになったら変わるんだろうか。変わるのか?2019/12/12

カモメ

3
ジェンダー教育では横断的に諸分野と連携しながら、知を提示する側面と体験を通じた知の実践という二側面が求められている。フランスの教育アクションや中国での社会を変革する主体となっていく試みである学外での演劇活動が興味深い。しかしフランスではカトリック系のジェンダー理論への反発もある。日本での課題は家庭や労働に偏っている、組織基盤の充実、教員人材、学内外の組織との連携等があるそう。 2022/09/03

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