内容説明
政治と絵画、支配と被支配に翻弄されない《美》の真実を希求する芸術家の姿を描いた画期的《美術小説》
日本に輸入された西洋画を極めようとした藤島武二教授。東京藝大に台湾から留学してきた画学生・陳澄波。絵画とアイデンティティーの相克に悩む日本と台湾の画家が、ともに乗り越えようとした《轍》とは? 政治と絵画、支配と被支配に翻弄されない《美》の真実を希求する芸術家の姿を描いた画期的《美術小説》!
【著者】
長者町岬
1950年、東京に生まれる。東京芸術大学で美術史を学び、展覧会企画および芸術研究の道に進む。「アジアの潜在力」、「ブラジル先住民の椅子」「アジアのイメージ」などの展覧会を開催、94年に「素材の領分」展で倫雅美術奨励賞を受賞する。美術研究家としての著書に『明治の輸出工芸図案』、『工芸の領分』、『近代日本デザイン史』、『楽浪漆器』『工芸のコンポジション』などがあるが、2024年、初の小説『アフリカの女』を上梓。本書は2作目の小説作品となる。
目次
1 嘉義(ジャーイー)の街
2 陳澄波(チェンチェンポー)
3 真精神(エスプリ)
4 入選祝賀会
5 同化政策
6 日台友好の礎(いしずえ)?
7 共同体の個性
8 ひとり一人の個性
9 それぞれの道
10 地方色(ローカルカラー)
11 エルテルのナナ子
12 移植は創造ならず!
13 既視感のない風景
註 釈
年 譜