内容説明
誰かを好きになる。これは能動か受動か。好きになろうとしたのでもなければ、好きになるよう強いられたのでもない。自分で「する」と人に「される」しか認めない言葉は、こんなありふれた日常事を説明することすらできない。その外部を探求すべく、著者は歴史からひっそりと姿を消した“中動態”に注目する。人間の不自由さを見つめ、本当の自由を求める哲学書。時代を画する責任論を新たに収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
94
國分先生の本を何冊か読んできて、新潮文庫で新刊が出たということで手に取ってみました。文庫なのでさらっと読めると思いましたが、全然歯が立ちませんでした。中動態という能動態と受動態の中間にある概念はわかりましたが、それに関するものがどのように石などにかかわってくるかなどは皆目理解できません。今読んでいる世界哲学史をすべて読んでから再読しなければという感じです(それでも理解できるかどうか)。2025/05/05
酩酊石打刑
8
文庫版補遺があるとのことで再読。初読時時は〈意志と責任の考古学〉という副題に魅かれ読み始めたが、外国語音痴のため古代ギリシャ語はもちろん英語でさえも十分な理解には及べず、散漫な読書に終わった。今回もその事情はさほどの変化はないが、前回よりは丁寧に読むことができた。受動ー能動の関係の中で〈自己責任〉だとか息苦しさを感じる今日この頃、中動態というファクターを挟むことでいくらかの息抜きができる気がする。はなはだ漠然とした思いではあるのだが、その辺りの根拠を語学の習得も含め真摯な研究により示していただき感謝だ。2025/04/28
kumoi
6
「あなたは主体的に取り組みましたか?」①全く当てはまらない②あまり当てはまらない③どちらともいえないない④やや当てはまる⑤とても当てはまる。主体的とは、自らの意思によって能動的に取り組むことを意味しているのだろう。たしかに質の高いアウトプットになるよう努力したが、そもそも与えられたタスクであるし、私以外に相応しい人がいなかったから取り組んだとも言える。だから③としか答えられない。意思を前提とした世界のいかがわしさを感じさせられる事態である。解きほぐすためには中動態とスピノザが必要だ。本書はそのためにある。2025/05/11
totuboy
6
書いてあることは読みやすく、すらすらとページは進むのだが、理解できているかというとそこまではいかない。人間が当たり前のように使う言語の法則(文法)をもとに、私たちがどのような「意志」を持ち行動してきたのか、そもそも能動と受動がどのような状態なのかを解き明かすことで「中動態」という状態を掘り起こすという研究の家庭も面白い。今井むつみさんの研究テーマと、どこか親和性がある気がする。教育にも生かせそうな考え方だと思うので、本当に理解するために再読が必要。2025/05/05
geromichi
4
面白い。2025/05/31
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