新潮文庫<br> 春のこわいもの(新潮文庫)

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新潮文庫
春のこわいもの(新潮文庫)

  • 著者名:川上未映子【著】
  • 価格 ¥605(本体¥550)
  • 新潮社(2025/03発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101388656

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内容説明

世界が一変してしまったあの春、私たちは見てはいけないものを覗きこんでしまった――。持てる者と持たざる者をめぐる残酷なほんとう。死を前にして振り返る誰にも言えない秘密。匿名の悪意が引き起こした取りかえしのつかない悲劇。正当化されてゆく暴力的な衝動。心の奥底にしまい込んだある罪の記憶。ふとしたできごとが、日常を悪夢のように変貌させていく。不穏にして甘美な六つの物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さてさて

142
全く異なるシチュエーションを描いていて、関係性も全くない3つの短編は、”コロナ禍”を匂わせる表現によって一つに繋がれていきます。”コロナ禍”の独特な雰囲気感に包まれていたあの鬱屈とした時代をリアルに映し取った6つの短編には、あの時代ならではの危うさと背中合わせな空気をひしひしと感じさせるそれぞれの『こわいもの』が描かれています。さまざまな表現の工夫に興味深く読んでいけるこの作品。”コロナ禍”が纏っていた空気感を上手く描き出すこの作品。“コロナ禍”のそこはかとない怖さを上手く背景に織り込んでいく作品でした。2025/08/10

ふう

72
短編6話。感想を書くのが難しくて、読み終えて2日たってしまいました。「ブルー・インク」高校生らしい繊細な感受性をもつ二人の関係が、あの突然の休校でどうなったのかと、あのとき、本人たちの意志と関係なく断ち切られたものがたくさんあったことを思い出しました。感染することはもちろん怖かったけど、日常が壊れていくことも怖く、そして、本当は日常の中にもっと怖いものがひそんでいたことを思い知らされました。春?人ですよね。2025/06/25

阿部義彦

40
新潮文庫、ほやほやの新刊です。久々の文芸ものかも知んない。これは、作家さんも好きだし、表紙のデザインが秀逸(名久井直子)そして、最初の頁に大島弓子の「バナナブレッドのプディング」からの有名な台詞が!『すべて真夜中の恋人たち』は大好きな小説です。『黄色い家』は未だ読んでないよなー、などと独りごちる。6つの短編です。「あなたの鼻が~」とラスト「娘について」が印象的。前者はルッキズム、後者は同族嫌悪についての、えぐい程のこわい話でした。薄い本ですが、かなりの猛毒です、心して読んで下さい。2025/04/03

kana

32
春は変態が増えるというけれど、これはコロナの閉そく感の中で迎えた、個々が孤独な春、自らの内面から湧き上がってくるこわいもの、ということなのか。繋がっていないようでウイルスは広がり、SNSでもこわいものばかりが繋がり蔓延る世界、ということなのか。いずれにせよ身に覚えがある感覚。今とも地続きの感覚。ただもう文章の隅々まで、言葉の端々まで川上未映子節がさく裂していて「こわい」より、「幸せ」が勝つ読み心地。トヨとよしえの愚かさは特に屈折していて、それを掬い取る文体に魅せられるし、一周回って人間らしく愛おしい。2025/03/31

Shoji

28
人間って退廃的に出来ているのであろうか、物事を惰性的に考える生き物なのであろうか。感染症が蔓延し行動が制限されている様が書かれていたが、それは、抑圧された環境で喘ぎながら生きる我々の姿のような気がした。重苦しい物語だった。2025/04/18

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