内容説明
1985年、バブルに沸く日本。大みそかに出発した北海道札幌発のバスツアーで流氷を見ることを楽しみにしていた少年と少女は、バスの転落事故ですべてを失ってしまった。
そして1999年、成長した彼らは、きたるべきミレニアムに浮足立つ新宿の街で再会するーー一体の首吊り死体をはさんで。定年間近のベテラン刑事と、競争から外れてしまった若手刑事が、二つの時代をつなぐ事件の真相を追うべく、駆けずり回る。この国で隠され続けてきた、あまりにも悲しい真実とは――?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
220
世紀末の平成に発生した殺人事件から、昭和の終りに北海道で起こった観光バス事故との関係が浮かぶ。時代に取り残されたと自覚する老刑事が最後の仕事として若い部下を引き連れて追う姿は、『飢餓海峡』の弓坂刑事と味村刑事コンビを思わせる。権力者による事実の隠蔽と歪曲が容易にできてしまう設定は疑問だが、事故で生き残った少年少女に不条理を押しつけて自分たちの安寧を図る日本人の醜さは今も変わらないか。過去の因縁が新たな事件を呼ぶ昭和の社会派ミステリの王道に挑んでいるが、当時の作品には救いなどない酷寒の厳しさが満ちていたな。2025/05/05
おしゃべりメガネ
172
初読みの作家さんで、タイトルに'流氷'とあればオホーツクエリアに住んでるモノとしては読まないワケにはいかず、手にとりました。結果して、これぞまさしく令和の『白夜行』としか思えない完成度です。時は1985年、北海道において流氷ツアーバスの転落事故から物語は始まり、年月を経て転落事故から奇跡的に生存した少年少女のその後をミステリアスに綴ります。そんなトキ、不可解な殺人事件が発生し事態は思わぬ方向へと流れていきます。500頁弱の大作でしたが、先が気になり頁を捲る手がとまらなくなる作品に出会えたコトに感謝ですね。2025/05/10
あすなろ@no book, no life.
169
初めて一雫ライオン氏の作品を読んだ。凄いなと思った。大好きな安全地帯の悲しみにさよならを今後聴くたびに僕が見る景色を塗り替えるインパクトがあった。それはこの哀しい小説が見せる景色になってしまった。幾重もの重い過去を織り込んでいて、微かに何かの不自然さを感じはするがラストは驚きの事実が押し寄せる。彼等と同じ時代を駆け抜けてきた第二次ベビーブームの我等にとってもずっしりと響く哀歌的で秀逸なミステリーであった。以上、ネタバレとなりそうでこれ以上書けないが、同じ歳の一雫氏の作品を今後追い掛けたい。2025/09/02
hiace9000
151
慟哭のミステリー大作だった。昭和末期のバブル、平成不況とミレニアムという時代背景を舞台に、ハラハラとジリジリに手に汗握らせながらの巧みな展開、そして終盤の驚愕の開示によるもうひとひねり! 読み手の臨場感を高めてくれるのは、著者が脚本家の本領を発揮する、喧騒から静寂への鮮やかな場面切替や、明から暗へ、遠から近へとカメラワークで見せるような映像的演出のなせる技か。確かにもう少しここを…のツッコみどころもあるにはあるのだろうが、最後まで読み手を引き込み読ませ切る高いリーダビリティには文句のつけようはないだろう。2025/05/12
モルク
150
1985年大晦日流氷見学バスツアーでの転落事故で生き残った6年の由里子と4年の修一。そして15年後の新宿歩道橋での首つり自殺。喉に小骨が刺さったように感じた退職間近の刑事真宮。これらがそして彼らがどのようにして結びついていくのか。バス事故の被害者ではあるが加害者運転手の息子でもある修一は居場所をなくしていた。由里子も障害のある弟を抱え…二人はお互いを庇いあい守るために生きてきた。真相に近づかなくていい!逃げて!と何度も思う。こちらも喉に小骨が刺さりすっかりミスリードされたが最後に希望が見えてよかった。2025/11/11
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