内容説明
愛する娘を傷つけたくない。著者渾身の人情譚
痛みも後悔も乗り越えて、いつかみんなできっと笑える。
『銀花の蔵』で直木賞候補、
いま注目の作家が放つ“傑作家族小説”!
売れない芸人を続ける娘、夫の隠し子疑惑が発覚した妻、父と血のつながらない高校生……
大阪・ミナミを舞台に、人の「あたたかさ」を照らす群像劇。
◎松虫通のファミリア
「ピアニストになってほしい」亡妻の願いをかなえるために英才教育を施した娘のハルミは、漫才師になると言って出ていった。1995年、阪神淡路大震災で娘を亡くした吾郎は、5歳になる孫の存在を「元相方」から知らされる。
◎ミナミの春、万国の春
元相方のハルミが憧れた漫才師はただ一組、「カサブランカ」。ハルミ亡き後も追い続けたが、後ろ姿は遠く、ヒデヨシは漫才師を辞めた。2025年、万博の春に結婚を決めたハルミの娘のため、ヒデヨシは「カサブランカ」に会いに行く。
(他、計6篇)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
247
遠田 潤子は、新作中心に読んでいる作家です。本書は、大阪ミナミ・カサブランカ家族小説連作短編集でした。 オススメは、「松虫通のファミリア」&「ミナミの春、万国の春」です。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/97841639195532025/04/17
hiace9000
176
昭和~平成~令和、時は移り街の景色は変われど、変わらぬ人が住む大阪ミナミ。大阪弁、漫才、グルメ、コアなエリア、二度目の万博―。漫才師〈カサブランカ〉のチョーコとハナコを絡めた、時代を跨いで繋ぐ連作短編群像劇。円熟の遠田筆が描くのは、一筋縄ではいかぬ、人と人との間に横たわる思惑や間。頑なな心を浮き彫りにし、時に深く頷き、時にホロリとさせる泣き笑いと奥深い旨味で綴る上方浪花節。各話に差し挟まれる、これまで初見!?の名言・格言も、まるで薬味のように人情噺に彩と風味を加えネタを引き締める。笑いでめでたい春が来る。2025/06/14
いつでも母さん
163
全編通して漂うのは何故か「昭和の香り」いや、平成からこっちなのだけれどね(汗)ここは大阪・ミナミだもの、濃いのねと思ったが、そこは想像の範囲内(っていう、かそこまでではない)姉妹漫才コンビ『カサブランカ』が物語の芯にあって、その絡み方、そうだったのかが分かる伏線回収が、今までの(当方比)遠田さんとは違う温かさだった。カサブランカのチョーコが言う「親は愛情で子供を壊せる。自分を助けられるのは自分だけや」この言葉が痛い。色々あるよね・・2025/03/24
fwhd8325
151
今までの遠田さんの作品からイメージしにくかったのですが、読み進むうちに「らしさ」のようなものを感じ始めました。お笑い、演芸と言っても、東京と大阪は全く根付いているものが違うことを、あらためて感じます。どちらがどうのではなく、生活に根付いていることの強さが、根本からして違うのでしょう。とても濃厚でいて、さわやかさも感じさせてくれました。2025/05/05
のぶ
151
大阪のお笑い芸人を通して人生の浮き沈みや葛藤を描いた作品。連作の形をとっているが、話自体は繋がっていて、一つの物語として読む事も出来る。自分は大阪の地理に疎くて、どこがミナミでどこがキタかも分からないし、文化の違いも知らないが、登場人物はカサブランカという姉妹の漫才師が中心になっていて、上方の人情のある話が展開されて、楽しく読む事ができた。今までに読んできた遠田さんのイメージと違っていて、読み始めは馴染めなかったが、これも遠田さんの抽斗の一つなのですね。2025/03/22
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