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内容説明
淡い水彩で描かれた子どもたちの絵で知られる、いわさきちひろ。優しさに溢れた作品は、多くの人たちに愛されてきたが、その人生はあまり知られていない。
そんな彼女の55年の生涯をたどると、戦後の混沌とした時代に自立する女の生き方を志し、人間の尊厳を問い続ける姿勢が変わらずあった。
生誕100年を迎えた彼女の生涯をひもとき、作品以外に遺された日記や記者として執筆した記事などの資料、往時の活動を知る関係者の証言を通して、知られざる「いわさきちひろの素顔」に触れる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
チェアー
12
いわさきちひろの絵は誤ることないが、ちひろ自身の人生はまったく知らなかった。松本善明の妻だったことや、初回の結婚の失敗。一生背負い続けた人だった。そして55歳の若さで亡くなったこと。評伝としてはあっさりとした内容だったが、資料などが少なくて、書きにくかったのかもしれない。内面にあった激情と強さをもっと知りたかったと思う。2019/07/29
冬将軍
6
優しい絵のちひろさんの幸せがいっぱい詰まった本だろうと思っていた。はからずも、先に読んだ『日本の天井』に連なる働く女性の話だった。著者は綿密な取材をされており、ちひろの親族、数々の著名人、登場する全ての人が強い磁石のようなモノでつながっている。彼女自身は何も大声で叫んだわけでもなく、大舞台に立ったわけでもない。夫を愛し、息子に溢れんばかりの愛を注ぎ、ただ黙々と絵を描き続けた。病床で『今度こそ無欲の絵を描きたい』と言い残したちひろ。彼女の描いた透き通るような子どもの瞳からは平和を祈る強い想いが伝わってくる。2024/10/21
Yuki
2
ちひろ美術館に行く前に読むべきだったが、本の存在を知らなかった。この人は自分が生まれる前に亡くなり、8月8日に亡くなる章も8月9日に私は読んで命日を知った。ちょっとずつ間に合わない。この人の絵が小さい頃から大好きで、ようやく美術館へ行き、ようやくいわさきちひろについて少し知れたと思う。絵とは違う、激動の人生。そして絵のような穏やかでオシャレな人。著者が感銘を受けた、ちひろの《大人になること》というエッセイは私も美術館で忘れられない。2019/08/11
ゆうぴょん
1
娘の伝記でいわさきちひろさんを読んでいるので、最初の結婚に失敗したことは知っていたけれども、なかなかハードな別れ方だったことにびっくり。親の進める結婚。それも戦前なら仕方ないことなのに、ある意味ぶれないちひろさんが凄い。共産党員だったことも初めて知った。 あのふんわりした絵柄からは想像のできない激動の人生。 そして、この時代に一家を支えていたことが凄いと思う。 どこか強さのある絵はそういうことなのかなぁとも思う2024/02/17
みーたん
0
ちひろの絵は見てきたつもりなのに、ちひろの人生、背景を知らなかったことに気づく。 自らの戦争体験、ベトナム戦争を通して「世界平和や命の尊さ」を絵で訴えた人生だったのでしょうか。 2019/10/03