内容説明
「湯河原駅では、巨大なクリスマスツリーの撤去作業が行われていた。作業着にボアの付いた帽子を被った町役場の職員が、横に倒した大木に撒かれたイルミネーションライトを黙々と外している。高校三年生の川本湊は、その様子を横目でちらりと見やると、さして興味も示さずに予備校への道を急いだ」(「湯あみ」本文抜粋)。独創的な着想が冴えるエンターテイメント性の高い作品、二編収載。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小説大好き
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作者の方、読書メーターとか見るのかな? まず、失礼な話、ちゃんと面白かったです。留学生、部活動、受験、バイト、友人に異性と、青春小説の構成要素を丁寧に扱い話を作り上げているのを感じました。ただ、洞察が深いタイプの作風ではないです。「憧れの女性」が割と都合良く動く点は気になります。また、「予想以上に正確な日本語」を話すヴェロニカの台詞をカタカナにするのは少し無神経かな、と思います。最後に、僭越ながら提案ですが「湯あみ」の1章と2章、入れ替えてはどうでしょう? それだけで都合の良さが大分軽減される気がします。2025/03/16