内容説明
イラストレーターの想一は、高校からの友人でノンフィクション作家のミヤビから、彼女が受けた依頼の手伝いを頼まれる。それは40年前、六本木のビルの屋上で遺体となって見つかった男性を調べることだった。当時の警察は事件性なしと判断し、身許不明の「行旅死亡人」として処理。依頼人の正体も目的も分からぬまま、想一とミヤビは、男性が何者で、なぜひっそりとそこで亡くなったのかを調査し始める。かつてのビルの住人に当たるうち、2人はある奇妙な人物に行き着くが――。
過去と現在が交錯する、ノンストップ・エンタメ長編!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
181
大沢 在昌は、永年に渡って新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、SFタイムスリップ・ミステリ、リペアラーがそういう意味だったとは・・・ 本書の舞台となっているローズビル周辺は、仕事で何度か出没しているので、親近感が湧きました。 https://www.kadokawa.co.jp/product/322306001316/2025/04/10
佐藤(Sato19601027)
101
ジャズ「エンジェル・アイズ」を聴きながら、贅沢な読書時間を満喫、幻想的なラストに感動する。男女二人のバディもの。イラストレーターの想一は、ノンフィクション作家のミヤビと一緒に40年前の行旅死亡人(本籍・住所・氏名不詳/男性/推定年齢50~70代/紺スーツ/白色シャツ)の身許を捜索する。死亡していた5階建てのアパートは、現在も残っており、屋上からは、六本木から西麻布にかけての街が一望できる。手掛かりを求めて、当時のアパートの住人に話を聞いて回るうちに六本木のジャズバーで、白髪頭のピアニストの白人に遭遇する。2025/03/28
aki☆
52
六本木の古いアパートの屋上で40年前に身元不明の死体が発見さえていた。誰が何故そこで?依頼を受けたノンフィクション作家とイラストレーターが調査を始める。そこで大きな謎にぶち当たり、調査を妨害する者たちも現れて。え~⁈と思うくらい大事になっていって、屋上で亡くなっていた人が誰かよりもそっちが気になってきた。別の意味ではご都合主義がちょっと気になった。祖父が「フィクサー」はズルいでしょw。 大沢さんにしてはライトな作品で、やっぱりハードボイルドが読みたい!とは思ったけど読みやすさ抜群でちゃんと面白かった。2025/05/02
rosetta
38
★★✮☆☆先日読んだこの人の本は吸血鬼体質になってしまった刑事の話だった。いつの間にかこの人はトンデモバカミス作家になってしまったらしい。これからはクソ新堂と同じ箱に入れよう。それでもさすがに、謎に迫る過程は手練のベテランらしく面白かった。460頁という厚めの本を1日もかからず一気読みさせるのも見事。まあその分内容が薄いとも言えるか?結末を決めないまま書き始めて収拾に困って結末をでっち上げたって感じ。それまで真相に期待して読んできた読者を裏切る最低の仕業。しかも新聞連載だと言うのだから罪は深い2025/06/23
タナー
33
先月リリースされたばかりの大沢先生の新作。彼の新作を読むたびに、その発送のスゴさというか、創造力とでもいうのか、そんなものに驚かされる。イラストレーターの五頭とノンフィクション作家ミヤビのコンビネーションがこれまたサイコーだ。最後はちょっと考えさせられたが、それは作者から読者へのメッセージと受け止めたい。ジャンルの境界線をも越える、傑作エンターテイメントだな。こういうストーリーを描けるのは、日本ではこの先生以外にはいないだろう。2025/03/19