内容説明
本書は、『法学セミナー』797号(2021年6月号)の特集記事を収録しています(連載など、ほかのコンテンツは含まれておりません)。統治機構における学問の自由「学問の自由」が、「思想の自由」や「良心の自由」といった基本権と並んで、憲法23条で、独立に保障されているのはなぜでしょう。昨年、日本学術会議会員任命拒否が社会問題となりました。「大学」という学問共同体に属し、学問を志す読者のみなさんにとっても、大きな関心事であったかもしれません。本特集では、「学問の自由」の意義を、個人・公共の利益、両方の観点から問い直します。「学問の自由」がもつ公的側面が統治機構においてどのように作用するのか、考察していきましょう。学問の自由の憲法的意義……松本和彦戦時下における学問の自由……西村裕一ドイツにおける「大学」と「国家」の関係――学問の自由を実現するためのパートナー?……栗島智明統治過程における専門家の役割と責任――専門家リテラシーの問題も併せて……松尾 陽正統性(Legitimacy)と正当性(Rightness)の相克を超えて――政治における2つの正しさから考える統治機構改革のこれから……亀井善太郎