内容説明
長い進化を共にしてきた細菌とそのウイルス(通称ファージ)は膨大に存在している.薬剤耐性菌による感染症の死者がガン死者を上回る将来予想が示される中,忘れられていたファージ療法が復活する.分子生物学を誕生させ,医薬品開発の基盤技術ともなっているファージの探究史を,その発見から今日までドラマチックに描きだす.
目次
はじめに
プロローグ──ファージ療法で奇跡的に回復したトム・パターソン
ナイル川の船上での最後の晩餐
最悪の薬剤耐性菌アシネトバクター・バウマニ
ゲーム・チェンジャーになったファージ療法
1 細菌の溶解現象──ハンキンとトゥオートの観察
ガンジス川の水にはコレラ菌を殺す力が存在する
細菌が産生する透明化物質
2 独学の細菌学者フェリックス・デレーユ──成功までの道のり
放浪の細菌学者
イナゴの細菌で出合った透明斑
バクテリオファージの発見
ファージ療法を思いつく
ファージ療法の成功
パスツール研究所内での論争
コラム◎プロファージ説を提唱したアンドレ・ルヴォフ
定職についたデレーユ
ファージ療法が主題となった小説『アロースミス』
五年間で終わったイェール大学教授
3 スターリン政権のもとで進展したファージ療法
グルジアでのファージ研究所設立計画
第二次世界大戦がもたらしたファージ生産の最盛期
4 ファージ療法の衰退
抗菌薬の時代の幕開け
冷戦時代に残っていたファージ療法
5 ファージの研究から生まれた分子生物学
物理学者から生物学者へ転身したマックス・デルブリュック
ファージ研究を始めたサルヴァドール・ルリア
ファージ・グループの結成
コラム◎細菌学から独立したウイルス学
コラム◎ファージ研究の成果を動物ウイルス研究につなげたレナート・ダルベッコ
6 原始的な生命体としてのファージと細菌の共生
ファージの多様な世界
ファージに対する細菌の防御機構,制限修飾
細菌の獲得免疫システム,クリスパー・キャスナイン
細菌とファージの生存競争
コラム◎抗体医薬開発の基盤技術となったファージディスプレイ
7 ファージ療法の復活
「ファージ研究のファースト・レディ」と呼ばれたエリザベス・カッター
ファージ療法に飛びついたカナダ人投資家
インドに設立されたファージ療法の新興企業ガンガジェン
食品添加物として承認されたファージ製品
進み始めたファージ療法の臨床試験
エピローグ
あとがき
文献
感想・レビュー
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ときわ
とりもり
y
AMOROS
パパ
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