岩波科学ライブラリー<br> ファージ・ハンター - 病原菌を溶かすウイルスを探せ!

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岩波科学ライブラリー
ファージ・ハンター - 病原菌を溶かすウイルスを探せ!

  • 著者名:山内一也【著】
  • 価格 ¥1,540(本体¥1,400)
  • 岩波書店(2025/02発売)
  • ポイント 14pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784000297295

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内容説明

長い進化を共にしてきた細菌とそのウイルス(通称ファージ)は膨大に存在している.薬剤耐性菌による感染症の死者がガン死者を上回る将来予想が示される中,忘れられていたファージ療法が復活する.分子生物学を誕生させ,医薬品開発の基盤技術ともなっているファージの探究史を,その発見から今日までドラマチックに描きだす.

目次

はじめに
プロローグ──ファージ療法で奇跡的に回復したトム・パターソン
ナイル川の船上での最後の晩餐
最悪の薬剤耐性菌アシネトバクター・バウマニ
ゲーム・チェンジャーになったファージ療法
1 細菌の溶解現象──ハンキンとトゥオートの観察
ガンジス川の水にはコレラ菌を殺す力が存在する
細菌が産生する透明化物質
2 独学の細菌学者フェリックス・デレーユ──成功までの道のり
放浪の細菌学者
イナゴの細菌で出合った透明斑
バクテリオファージの発見
ファージ療法を思いつく
ファージ療法の成功
パスツール研究所内での論争
コラム◎プロファージ説を提唱したアンドレ・ルヴォフ
定職についたデレーユ
ファージ療法が主題となった小説『アロースミス』
五年間で終わったイェール大学教授
3 スターリン政権のもとで進展したファージ療法
グルジアでのファージ研究所設立計画
第二次世界大戦がもたらしたファージ生産の最盛期
4 ファージ療法の衰退
抗菌薬の時代の幕開け
冷戦時代に残っていたファージ療法
5 ファージの研究から生まれた分子生物学
物理学者から生物学者へ転身したマックス・デルブリュック
ファージ研究を始めたサルヴァドール・ルリア
ファージ・グループの結成
コラム◎細菌学から独立したウイルス学
コラム◎ファージ研究の成果を動物ウイルス研究につなげたレナート・ダルベッコ
6 原始的な生命体としてのファージと細菌の共生
ファージの多様な世界
ファージに対する細菌の防御機構,制限修飾
細菌の獲得免疫システム,クリスパー・キャスナイン
細菌とファージの生存競争
コラム◎抗体医薬開発の基盤技術となったファージディスプレイ
7 ファージ療法の復活
「ファージ研究のファースト・レディ」と呼ばれたエリザベス・カッター
ファージ療法に飛びついたカナダ人投資家
インドに設立されたファージ療法の新興企業ガンガジェン
食品添加物として承認されたファージ製品
進み始めたファージ療法の臨床試験
エピローグ
あとがき
文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ときわ

5
ファージの名前は随分前に知っていたが微生物の一つだと思っていた。細菌に寄生?するウイルスでものすごくたくさんの種類があるんだって、へ~!しかも百何十年も前から研究されているってちっとも知らなかった。病気の治療に仕えるかもと分かり始めた時にペニシリンとかの抗菌薬が開発され、治療薬としての研究はとん挫した形。その後ソ連など東側で研究が続けられたのも冷戦時代の西側で研究が進まなかった理由かなあ(そうは書いてなかったけど私の想像)。現在は抗菌薬耐性菌出現のためまた研究と治験が始まった。2025/02/20

とりもり

1
ファージが注目されて忘れ去られ、そしてまた注目されつつあるという一連の流れをコンパクトに解説。耐性菌の出現で従来の治療法に行き詰まり感が強くなる中、新たな治療法として注目を集めていることには否が応でも期待せざるを得ない。とは言え、ウィルスも生き残るのに必死だから、今度はファージに耐性を持つようになるのでは?という気がしなくもない。最初のガンジス川の水にはコレラ菌を殺す力があるという話が衝撃的すぎて、後の内容がおまけに思えるほど。もう少し図表が多いと良かったかな。★★★☆☆2025/04/17

y

1
奥付の著者の生年をみて古い著作の再版的な感じかと思ってましたが、現在進行形の内容もあり、すごいなぁと思いました。 ファージ療法ってこんな昔からあるのかということ、かなり有効な治療法であること、様々な重要な発見にも寄与してきたのに驚きました。2025/03/07

AMOROS

1
【図書館本】面白かった。古細菌って。2025/03/06

パパ

1
細菌を殺すウィルスであるバクテリオファージは、同じ用途の抗菌薬の隆盛により研究が進まなくなった。薬剤耐性菌が問題になり、21世紀に入って再び研究が進められた。 著者は90歳を過ぎた研究者であり、研究の栄枯盛衰を肌で感じてきたのだろう。実感が伴った研究史が語られている。2025/02/23

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