内容説明
明治維新後、欧米をモデルに近代化した日本。他方で中国はその停滞から一転し蔑視の対象となった。
日清・日露戦争、満洲事変、日中戦争と経るなか、それは敵愾心から侮蔑、嘲笑へと変わっていく。
本書は、明治から昭和戦前まで民衆の対中感情を追う。
世論調査がない時代、民衆が愛読した少年雑誌に着目。赤裸々な図版から、古代中国への変わらぬ思慕とは対照的に、同時代中国への露骨な差別意識、感情を描く。図版百点収載。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
65
日清戦争前後から日中戦争期までの少年少女向け雑誌を中心としたメディアで、中国人がどのように扱われていたかを丹念に拾い上げている。当然蔑視が強く、ある意味徹底した「上から目線」が貫かれていて、ややげんなりする面も。ところが中国の古典に対しては極めて高評価であり、最後にはそれら素晴らしき古典を守るのは日本であるという視点まで登場する。戦争絡みのプロバガンダの面が強いだろうが、こうした感覚が戦後になっても脈々と日本の人々の中に流れてしまっているような気がして暗澹とした気分になった。著者には続編を期待する。2025/04/14
HANA
62
日清戦争から日中戦争の間まで、民衆が中国に向けた視線。それを少年雑誌を手掛かりとして調査した一冊。敵として戦った日清戦争期の敵意から、徐々に蔑視へと変化していく過程が特徴的だなあ。少年雑誌が原典なだけありダイレクトな表現が多いし。あとある差別語が豚の尾が元というのは初めて知ったなあ。基本欧米を中心とする帝国主義全盛期にその末尾に着いた我が国が後進国に向ける視線と言うのは共通しているのだが、全編そればかりなので江戸時代も少しばかり追加していれば落差が目立ってもっと深みが出るのではないかと思ったりした。2025/05/11
さとうしん
27
日清戦争前夜から日中戦争の頃までの対中感情の推移を、特に子ども向けの雑誌の記事やイラストを中心にたどる。同時代の中国(人)に対して一貫して侮蔑や嫌悪、憎悪の感情が見い出せる反面、孔子や関羽など古典世界の偉人は一貫してリスペクトされているという、現実世界と古典世界との対応の乖離は、著者も指摘するように現代でもそう変わらない。「しかしよくもまあ」と当時の表現の数々に呆れるとともに、このことに対する反省なくして今の中国(人)の諸問題を批判するのは態度として不当ではないかと感じさせられた。2025/02/23
Toska
26
前著(https://bookmeter.com/books/7871190 )の射程を明治から大正・昭和戦前期にまで延ばし、一般向けに読みやすくした内容。知識人の理路整然とした中国観ではなく、とらえどころのない民衆の「感情」に迫る意欲的な試みも前著と変わらない。これを補うため、当時の雑誌のイラストやマンガなどビジュアル資料が多く紹介されているが、ポリコレ概念がない時代だとこうなってしまうのか…という酷いものばかり。この研究にかけた著者の熱意と葛藤は「あとがき」で知ることができる。2025/07/28
おかむら
25
なぜ日本人は中国人を嫌う(人が多い)のかを、明治大正昭和の少年向け娯楽雑誌から読み解く。これは面白かった!当時の挿絵のヒドイことよ!私の親世代(90代)はホントこんなんだったよ。そして脈々と刷り込まれた蔑視感情が、例えば偽キャラクターがウロウロしてる中国のパクリ遊園地とかの映像を見てウケるーとか思う自分の中にも確かにあるわ。見下しから脱しきれない昭和世代で恥ずかしいです。2025/04/28
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