日本経済の故障箇所

著者名：脇田成

日本評論社（2025/02発売）

• ISBN：9784535540859

内容説明

日本経済が陥っている長期停滞状況を、基礎的なデータで一つ一つ確認、どのような脱出策があるかを検討する。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

[朝ですよね]

円安の恩恵が特定の業種に偏る点は理解していたが、グロスで見ると意外と収益率が低いのは知らなかった。財務省、経産省、日銀など様々な主体が統計を作成しているものの、それぞれにデータが不十分な点があり網羅的な課題が共有されにくい。デメリットの大きい金融緩和を継続したのには、課題が曖昧なことに加えて、政府、専門家、企業それぞれに本音と建前があり、建前が作用したと著者は指摘する。日本経済の故障箇所とは賃金が上がらないこと。これは国内の税制や雇用環境だけでなく、国際的な競争もあり複雑な問題である。

2024/12/31

[chiro]

この著作で示されている日本経済復活のシナリオはとてもわかりやすくかつ的確だと感じたし、この実践こそが失われた30年に終止符を打つと共に、実施するハードルもそんなに高くなく効果も早く現れる施策だと思う。この国は内需が戻らない限りデフレからの真の脱却は難しいしここまでの日銀の円安主導政策が為し得た唯一の株価の高騰も一般家庭では恩恵に浴する事が少なかった。一部ではNISAへの誘引を危険視する向きもあるがまずは投資へのチャレンジを促す意味でも間違ってはいないと思う。これによって不労所得への関心を強める事も肝要だ。

2025/02/24

[青雲空]

最大の故障箇所は企業の貯蓄過多とする診たてに全面的に同意する。 そこを直視することなく、あちこち対症療法に走り、挙句の果てに慢性病を長引かせているのが現状。そしてやぶ医者ども（官庁エコノミストや幇間経済学者、上級職官僚、経団連など）は、責任逃れと押し付け合いをしているばかり。 再びの敗戦へ、まっしぐらに進んでいる日本。 ほとんどの指摘に同意するが、NISA推奨だけは同意できなかった。

2025/11/23