内容説明
足利成氏(しげうじ)から始まる古河公方と、幕府の官僚伊勢宗瑞(そうずい)が駿河や伊豆を起点に勢力を伸ばした小田原北条氏。両者をとりまく諸勢力の動きをからめ、国府台(こうのだい)合戦や河越合戦へと集約される東国の覇権争いの過程を包括的に描く。
目次
プロローグ 戦国前期の東国世界
一 古河公方家の分裂と相克
1 伊勢宗瑞の登場と動向
2 古河公方家・上杉家と宗瑞
3 混迷の東国
4 龍の花押、虎の印判
二 北条氏の南関東侵攻と足利氏
1 伊勢から北条へ
2 足利・上杉氏と国衆
3 古河公方家をめぐって
4 房総紊乱
三 第一次国府台合戦と北条氏綱
1 公権力への道
2 国府台合戦
3 その後の小弓公方家
4 逆徒から管領へ
四 古河公方足利氏と小田原北条氏の対決
1 北条氏康の家督継承
2 河越合戦
3 山内上杉氏の没落
4 小田原北条氏と古河公方家
エピローグ 〝対決〟の果てに
参考文献
略年表
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MUNEKAZ
13
古河公方と北条氏の関わりを中心に、所謂「川越夜戦」までの関東戦国史を振り返るのに丁度よい。実力だけなら北条なのだが、足利の血脈が持つ圧倒的な権威の差をいかに縮めていったかがポイントかな。伊勢から北条への改姓はもとより、鶴岡八幡宮の修築などを通して、北条家が関東を代表する大名家へとステップアップしていく過程が面白い。また古河公方家も親子兄弟で内紛が絶えないのだが、それだけ常に担いでくれる勢力が複数いるということで、その貴種性の裏返しにようにも思える。北条氏が一致団結して自力で成り上がったのと好対照である。2025/07/29
onepei
2
吞み込まれていく公方家。2025/04/12
Go Extreme
1
公方は「名目上の公方」として辛うじて残存した 古河公方の凋落は、中世的公権秩序の解体と近世的領主権力の台頭を示している 北条氏は古河公方の形式的地位を吸収し、新たな正統性の構築を試みた 「格式と名分」vs「実力と支配力」という対立が、中世から戦国への政治秩序の移行を象徴している 関東の政治的分断と再編により、北条氏が主導権を奪いつつあった 北条氏は旧秩序を継承しつつ、新たな実力主義の支配構造を構築した 「対決」は中世的公権秩序が崩壊し、戦国的地域国家が誕生する歴史の転回点だった2025/04/03
こさと
0
地元図書館の本。2025/07/01