講談社学術文庫<br> おみやげと鉄道 「名物」が語る日本近代史

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講談社学術文庫
おみやげと鉄道 「名物」が語る日本近代史

  • 著者名:鈴木勇一郎【著】
  • 価格 ¥1,320(本体¥1,200)
  • 講談社(2025/02発売)
  • ポイント 12pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065383230

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内容説明

◇各地に無数に存在する「おみやげ」は、外国にも近代以前にも存在しない、独特の文化だった!◇

日本各地の駅には、饅頭や羊羹などや弁当などの食品が、その土地の名物として売られている。
私たちにとって当たり前のこの光景は、実は他の国ではほとんど見られない(ロンドンのターミナルで「ビッグベン当」などの類は見あたらない)。
この類い稀なる「おみやげ」という存在は、鉄道を筆頭とする「近代の装置」が、日本の歴史、文化と相互作用して生まれたものだった!

「きびだんご」が岡山名物になったのは、日清戦争と鉄道敷設の歴史的事情が背景にあった。
静岡駅の安倍川餅は餅ではなく「求肥」なのも、赤福が伊勢名物として有名になったのも、なぜか北海道にバナナ饅頭があるのも、鉄道という「近代の装置」抜きにしては語れない。
交通網の発展と各地の歴史が結びついて「名物」を生み出してきたさまを、膨大な史料を徹底的に読み込んで、鮮やかに描き出す、唯一無二の研究の集大成!

鉄道を独特の角度から捉えながら日本近代史の探求を続けてきた著者の代表作。

【本書の内容】
序章 おみやげの起源とおみやげ文化
日本の特異なおみやげ文化/日本独特の「名物駅弁」/「おみやげ」と“スーベニア”/「名物」と「みやげ」 など
第1章 鉄道と近代おみやげの登場
清河八郎の「おみやげ配送」/日清戦争と鉄道輸送/五色豆と政岡豆/「異人くさい」鳩サブレーが名物となるまで など
第2章 近代伊勢参宮と赤福
明治天皇に届けられた赤福/赤福を凌駕していた生姜糖/近鉄電車と構内販売 など
第3章 博覧会と名物
博覧会・共進会・商品陳列所/江の島貝細工の盛衰/鉄道院の名物評価/全国菓子大博覧会/大垣の柿羊羹 など
第4章 帝国日本の拡大と名物の展開
「軍都」に生まれる「軍人土産」/創出の物語―もみじ饅頭と伊藤博文伝説/新領土台湾とおみやげ など
第5章 温泉観光とおみやげ
温泉饅頭の誕生/道後煎餅と温泉煎餅/熱海の干物―由緒づけなき名物/有馬温泉から別府への技術移入 など
第6章 現代社会の変容とおみやげ
変化の中で生き残ったおぎのやの釜飯/ひよ子創業伝説/長く不在だった東京みやげの代表 など
終章 近代の国民経験とおみやげ
注 
あとがき
名物索引

*本書の原本は2013年に講談社より刊行されました

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

fwhd8325

61
おみやげの歴史。書店で見つけて、迷わず買ってよかったです。こどもの頃は、部屋にペナントを飾っていて、誰かが旅に行くことを聞けば、買ってきてもらっていました。不思議と同じ地域出会っても重なることがなかったです。そして、おみやげと言ったら饅頭に代表されるお菓子。赤福はかなりのパージを割いています。2018年に国立歴史民俗博物館で開催された「ニッポンおみやげ博覧会」も楽しい展示でしたおみやげって、もらっても買っても楽しい。2025/04/07

うえぽん

46
近代史家が、大英博物館での企画展示に触発され、日本独自のおみやげ文化と鉄道等との関係を解説。明治期東海道線の名物は、漬物、塩辛、餅、羊羹など。参宮急行の開通、修学旅行の定着を利用して伊勢参宮客の需要を取り込んだ赤福。大正期に始まった百貨店物産展。昭和初期に開業した丸ビルの地方物産陳列所はアンテナショップのはしり。各種博覧会への出品、表彰で評判を定着させた大垣の柿羊羹等の銘菓。帝国日本の盛衰が北海道や台湾の土産動向にも影響。近年の外国人客増加による食べ物以外の「配らないスーベニア」の再評価の傾向も興味深い。2025/04/01

Cinita

14
面白かった! 旅先で買ったお土産のお菓子を配る習慣が日本でしか見られないというのがまず驚き。歴史も意外に浅いのね。生菓子の持ち帰りが可能になるには鉄道網の発達が不可欠だったというのは言われてみれば納得です。/赤福や東京ばな奈といったおなじみの銘菓の成り立ちも知れてよかった。千葉県民的には、馴染み深いなごみの米屋が、成田への戦勝祈願需要や軍への納品に積極的に食い込み売上を伸ばしていったという話が興味深く、時代を乗りこなす商人のたくましさを見た気がしました。2025/03/24

藤井宏

13
ざっと流し読みです。赤福が有名になったエピソードに、明治天皇からお酒をすすめられた随行の宮内省の職員が慣れない飲酒であったため、身体中真っ赤になって、「お祝いの御酒いただきて手も足も躰もすべて赤福」と歌に詠んだことがあげられていた。旅行会社の「日本旅行」は草津駅の構内販売業者南洋軒が前身で、今も南洋軒の建物に支店があると。大正初期もインバウンドの外国人のおみやげ購入が相当の額(1.000万円/年)(一方、京都の観光客の買い物額が年1,600万円)であり、誘致政策は重要であったと。2025/03/17

わ!

9
めちゃくちゃ面白い本です。そもそもこの表紙とタイトルで「講談社学術文庫」だというところが変わっていました。内容も、誰かに話したくてウズウズしてくる様な小ネタのオンパレードになっています。そもそもお土産とは何かと言うところからはじまって、岡山の吉備団子や厳島神社の杓子と日清戦争との関係ですとか、伊勢の赤福や、東京バナナなどが、どのようにして有名なお土産になっていたがが紐解かれてゆくのです。なんだか知的バラエティ番組を観ている様な調子で充分に楽しませてくれる良本です。2025/03/13

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