ちくま学芸文庫<br> 野生のうたが聞こえる

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ちくま学芸文庫
野生のうたが聞こえる

  • ISBN:9784480512727

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内容説明

オークの年輪、ヤマシギのダンス、夏の川がつくるビロードの草地……。生態学的知識を携えて観察し、土地へのたゆまぬ愛と尊敬を捧ぐエッセイは、アメリカの自然をみずみずしく描き出して環境運動のバイブルとなった。同時に本書は、適切な自然管理・保護とはなにか、自然への感受性を高めるためにはどうしたらよいかといった課題にも対峙する。その答えを倫理に求め、共同体という概念の枠を土壌や水、植物、動物までを含む土地全体に広げる「土地倫理」を提唱した。ソローの著作と並び立つ環境倫理学の古典。

目次

はじめに/I 砂土地方の四季/一月/一月の雪解け/二月/良質のオーク/三月/帰ってきたガン/四月/洪水よ、来たれ/イヌナズナ/バー・オーク/空中ダンス五月/アルゼンチンからの帰来/六月/ハンノキ合流点──ある釣りの詩/七月/大いなる領地/草原の誕生日/八月/緑なす草地/九月/コーラスの響く雑木林/十月/くすんだ黄金色/早朝の楽しみ/赤いランタンの輝き/十一月/もしも風なら/斧を手にして/堅固な要塞/十二月/行動範囲/雪に立つマツ/六五二九〇番II スケッチところどころ/ウィスコンシン/湿地帯挽歌/砂土地方/遍歴の旅/リョコウバトの記念碑について/フランボーイリノイとアイオワ/イリノイのバスの旅/もがく赤い脚/アリゾナとニューメキシコ/頂上台地/山の身になって考える/エスクディーアチワワとソノーラ/グアカマハ/緑色の潟/ガヴィランの歌/オレゴンとユタ/チートの進出/マニトバ/クランデボーイ/III 自然保護を考える/自然保護の美学/アメリカ文化における野生生物/原生自然/残された宝/レクリエーションのための原生自然/科学のための原生自然/野生生物のための原生自然/原生自然の守り手たち土地倫理/倫理拡張の筋道/共同体の概念/生態学的な良心/土地倫理の代用品/土地ピラミッド/土地の健康とA・B分裂/展望訳者あとがき/講談社学術文庫版訳者あとがき/講談社学術文庫版解説(三嶋輝夫)/ちくま学芸文庫版解説(太田和彦)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

アナクマ

30
1章12月_野生動物の行動範囲を探ることの楽しさ難しさ。野鳥調べの機微で「(5年間生き延びた)あの個体が今もぼくの脚輪をつけたままでいるとよいのだが…」という想像力は、心当たりのある心境だ。それから、神々や詩人たちに比肩する創造的な行為として木を植えることを挙げている。もしそれがしんどいのだとしたら「シャベルの刃先が鈍いせいだ」という指摘も小気味いい。そして本節での格言は〈風に敏感であれ〉である(「ストーブのそばで書かれた」ものにはそれが乏しいから)。銘記すべし。2025/02/11

アナクマ

27
連投御免。3章1節_野外レクリエーション。「人々が自然に還るということは結構なこと」だが、彼らは何を求めているのか。①成功の記念品(獲物や標本、成就のしるし)②間接的な記念品(写真とか)③閑寂の境地 ④自然の認識(生態系への洞察)⑤管理・保護の楽しみ(農業に似るという。「われわれ狩猟管理官はこの仕事に対してこちらからお金を払ってもよいくらいである」)。野外レク者は「土地や生物の損耗」を伴わない利用に順次移行/成長すべしと説く。◉〈ダニエル・ブーン〉が紹介される。→2025/02/17

アナクマ

23
1章11節_人間は「最初の基本的な二つの道具(シャベルと斧)」を使いこなすという意味で「創造と破壊という神聖な能力を備えている」。ここで示される自然保護論者の定義が面白い。それは〈実際に斧をふるうとき・切る木を決めているとき〉に判断されるべきであり、〈木を切らない者〉ではないという点が重要に思える。例えば、松と樺のどちらを重用するか。各人が、それぞれの偏見/贔屓をもとに、その斧の一振りが大地に刻むしるしを「謙虚に悟っている者」であれ、と言う。解説に「長い射程を持った人間中心主義」といわれる所以だろう。2025/01/31

アナクマ

23
レオポルドは環境倫理学の祖。「土地がひとつの共同体であるということは生態学の基本概念だ」原著49年。初訳86年。文庫化97年。新版24年。1-2部の自然体験エッセイから3部の哲学的問題へ。◉「個人とは、相互に依存しあう諸部分から成る共同体の一員〈平凡なメンバー〉」であり、その輪を「土地にまで拡大した場合の倫理」、倫理則の範囲を問う(無人島ひとり暮らしに環境配慮は必要か?問題)「物事は、生物共同体の全体性、安定性、美観を保つもの…でない場合は間違っている」という総体主義について。解説3篇も良いガイドです。2025/01/21

アナクマ

21
3章4節_土地倫理〈あなたが所属していると思える共同体に、土地も含めなさい〉という主張。「歴史上の出来事の多くは、人間と土地との、生物を媒介にした相互作用の結果だった」のだし、「牛を草のところへ連れていくのではなく、牛のほうに草を持っていってやる」くらいの工夫は必要だ。「商売にならない樹木も共同体の構成員として認められ」るべきなのに「土地の保全措置を自発的に実行する気配はほとんど見せない」。…という部分を焚き火のとなりで読む。2025/05/19

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