内容説明
現代パレスチナを代表する詩人が編み遺した、ガザの若き作家たちによる23篇。過酷な「日常」を書き留め、暴力と占領に物語ることで抵抗する、魂の作品集。
2023年12月、イスラエル軍の空爆によって命を落としたパレスチナの詩人、リフアト・アルアライール。忘却に抗うため、そして想像力によってあたらしい現実を立ち上げるため、彼が私たちに届けた、23の反撃の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヘラジカ
51
当たり前と言えば当たり前なのだが序文があまりにも重く、それ故に読み始めたは良いものの、作品に立ち向かうことが暫くできずにいた。物語は様々な力を持ち、様々な役割を担っている。しかし、どれだけ優れた作品であろうと、この本に収録されているような物語は本来なら生まれるべきではないのだ。この企画で生まれた作家、これから生まれる作家たちが、全く別の現実、全く別の想像で物語を紡げる世界が来ることを祈りたい。2024/12/14
かもめ通信
21
ガザの若者たちが直面する過酷な現実を伝えるこの作品集を編んだのは、リフアト・アルアライール。1979年、ガザ生まれの詩人で、作家でもあり、大学で世界文学と文芸創作を教える教師でもあり、活動家でもあった人物だが、2023年、イスラエル軍によるピンポイントでリフアト本人を狙った空爆により死亡している。全23篇。家族を失った悲しみを描く作品もあれば、今まさにがれきの下敷きになっている人やイスラエル兵士やその家族の視点で語る作品、ガザの日常や、ガザと難民キャンプの隔たりや分離壁が隔てるものを描く作品もある。2026/04/13
ねむ
13
「現代パレスチナを代表する詩人が編み遺した、ガザの若き作家たちによる23篇」。封鎖下で生きる人々が、故郷・家族・思い出・文化などあらゆるものを奪われる日常を書いた短篇集。視点はパレスチナ人のものだけでなくイスラエル人の兵士や子供のものもあり、作品の長さもさまざま。読書が他者の中にはいって世界を経験し直すことだとすれば、がれきに押し潰されて死にかけている人や、死んだ家族を思う人や、難民や抵抗の闘士やいたずらっ子になることで、圧倒的な現実が全方位から身に迫ってきた。これぞまさに短篇集のあるべき姿だろうと思う。2025/03/07
ねこねこ
12
いま、本一冊を隔てて私の隣にあるパレスチナ。現地を生きる若者たちの生きた言葉で、物語の形で届けられることによって、生のパレスチナの様子がより一層肌で感じられた。ガザの中にも格差があること。普通の大学生活やレポートがあること。そのすぐ隣に爆撃が、ライフラインの寸断が、虐殺が、自らの死があること。抵抗。壊されても作ること。帰還すること。何度でも木を植えること。イスラエルが消し去りたいもの。/岡真理先生の解説は重い。ほかでもない私たちの、私の責任を鋭く指摘される。この虐殺を許しているのは私であり私たちだ。2025/02/03
おだまん
10
パレスチナの詩人によって編み遺されたガザの若き作家たちによる日常になるべきではない日常。この決して幸せではない物語たちを海を超えて知ることができるのはやはり貴重な経験になるのではないのだろうか。幸せな物語が生まれることを願いつつ。2025/02/06




