内容説明
油屋の放蕩息子・与兵衛。色と金に溺れ、追い詰められた彼は残虐な罪に手を染める――。江戸の実在事件にもとづく近松門左衛門の人形浄瑠璃が、桜庭一樹の画期的名訳でよみがえる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
yumiha
31
歌舞伎好き同居人とTV鑑賞した『女殺油地獄』は、油と血と汗にまみれて滑りながら男が女を追いかけ回す場面が印象に残っている。夏のイメージだったけど、5月5日だったのねん。「俺ばかり」と世間に馴染めないまま貧乏くじを引いていると思ってきた与兵衛は、イマドキの行きずり殺人犯の姿と重なって見える。その場しのぎの辻褄合わせで楽な方へ流れる日々に、満たされない思いと鬱憤を溜め込んで、追い詰められた挙げ句の果てのお吉殺し。ラストの「俺が殺したかったのはお吉さんじゃねぇんだ」が痛ましい。自分自身すら分かっていなかった…。2026/07/15
ロア
21
てっきり七左衛門が集金の帰りに襲われるとばかり思ってハラハラしていたので、私にとってはまさかの展開。殺人シーンがめちゃくちゃ恐ろしかったです(;゚Д゚)今更ながらこのタイトルの迫力ってば……!2025/05/16
chie@午前三時のシンデレラ
19
2/25ー3/3(2026)。解題より、「父を亡くして、番頭が母の後添えとなって新しい父となるという事態に、七歳の兄は順応できたが、四歳の弟はできなかった。」この弟、河内屋与兵衛が、女と遊ぶために借金をしまくり、ついには幼ななじみを惨殺してしまう物語である。周囲の情けも理解できたのか、できなかったのか、捕えられても尚、この世の不条理を訴えようとする与兵衛。作者、近松門左衛門は、人情に厚い人だったに違いないけれど、勧善懲悪の物語にはなっていないところが凄いと思う。2026/03/03
びぃごろ
17
『日本文学全集10』より文庫化。一部加筆修正と書き下ろし解題あり。曽根崎心中と並び有名な近松門左衛門の浄瑠璃を現代語訳で読ませてくれる。筋は分かっていても書き手の違うものを読むことで味わいが増すというもの。人形浄瑠璃では上演されない段や結末もあるのでスッキリする。それにしても与兵衛…何故その生き方しかできなかったのか、手を差し出すもの数多、決して孤独であったわけではないのだ。何もしても愛されているという傲慢と甘えが、無意識に根を深く張っていたか…太夫が語るための本読みを私も心根を掴むために読んでいくぞよ。2025/04/07
マツユキ
15
『国宝』を読んでいて、気になった『女殺油地獄』を桜庭一樹訳で。油屋の放蕩息子、与兵衛の物語。結末はタイトル通りなんですが、三人の娘の母であるお吉さんの性格の良さに、涙。両親、妹、なんだかんだ言って伯父さんも、主人公思いの良い人なのに、なんでこうなっちゃったのか。言葉通りにしか受け取れないのは、どこに行っても、生きづらいとは思う。その場その場で生きているんだろうね。他人事じゃない。実際の殺人事件が元になっているらしく、恐ろしい。2026/06/13
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