フランス柔道とは何か - 教育・学校・スポーツ

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フランス柔道とは何か - 教育・学校・スポーツ

  • 著者名:星野映/中嶋哲也
  • 価格 ¥2,860(本体¥2,600)
  • 青弓社(2022/06発売)
  • ポイント 26pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784787235060

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内容説明

フランスは柔道の強豪国として知られている。オリンピックでのメダル獲得数も多く、その高い競技力と競技人口の多さ、事故の少なさなどから、日本で柔道先進国として紹介される。だが、イメージで語られることが多く、フランス柔道の実態や教育との関わりは日本でほとんど知られていない。

本書ではまず、フランス柔道の現在を紹介する。柔道クラブのエピソードからひもとき、競技人口や指導者数などの実情、学校教育や課外活動との関わり、フランススポーツ界での柔道の位置づけを丁寧に概説する。そのうえで、日本の講道館柔道とはまた違った柔道を確立した歴史的な歩みをたどり、洗練されてきた指導法や昇段試験などの制度、教育方法も通時的に検証する。

日本における柔道と教育との関係を確認したうえで、日仏を比較し、教育を基軸にするフランス柔道のありようと日本の柔道が抱える問題点を明らかにする。

目次

まえがき 中嶋哲也/星野 映

第1部 フランス柔道の現在

第1章 二つの柔道場からみるフランス柔道 星野 映/磯 直樹
 1 柔道人口
 2 なぜ柔道に人気があるのか

第2章 フランス柔道の組織概要 星野 映
 1 統括連盟と登録者数
 2 フランスの柔道指導者の実際
 3 色帯と昇段試験

第3章 現代フランスの学校教育と課外活動――スポーツの場合 小林純子
 1 学校とスポーツ
 2 EPSと柔道
 3 学校スポーツと柔道
 4 学校外活動としての柔道とその課題

第4章 現代フランス社会とスポーツ 磯 直樹
 1 「スポーツ」の定義
 2 スポーツと社会
 3 二十世紀後半のフランスと公的なスポーツ組織
 4 市民社会とスポーツ
 5 現代フランスのスポーツ競技人口

第2部 フランス柔道の教育システムの成立

第5章 フランスにおける柔道の確立 星野 映
 1 川石酒造之助とポール・ボネ=モリ
 2 フランス柔道、最初の分裂と統合

第6章 フランス式柔道の統一 星野 映
 1 新たな分裂とオリンピック
 2 フランス柔道の改革

第7章 フランス柔道と教育の接近 星野 映
 1 一九七〇年代のフランス柔道の課題
 2 競技偏重と登録者数の停滞

第3部 フランス柔道の教育観――日本柔道との比較を通じて

第8章 日本の伝統文化と柔道教育の矛盾 有山篤利
 1 問われる柔道教育の存在意義
 2 現代の武道教育の矛盾
 3 柔道教育のオリジナリティー

第9章 戦後日本における柔道の大衆化と高度化――全国中学校柔道大会の歴史を中心に 中嶋哲也
 1 体罰・しごきのメカニズム
 2 スポーツ化としての事故防止
 3 全中と大衆化
 4 柔道事故と技の規制
 5 強化委員会と全中
 6 少年規定が意味するもの

第10章 柔道教育からみたフランスと日本 中嶋哲也/有山篤利/星野 映
 1 FFJDAの施策
 2 実践者への対応
 3 部活動・オリンピック・根性
 4 日本柔道界の対策

あとがき 磯 直樹

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

榊原 香織

60
柔道大国フランス 柔道人口、日本の5倍 組織がしっかりしてます。 興味深い研究。 嘉納治五郎は、技の向上がダイレクトに人格向上につながる、と信じてたみたいで面白いですね。 柔拳でも実際、心が乱れてると技効きませんもの2022/11/04

kenitirokikuti

10
図書館にて。ざっと簡単に読んだ。フランスは五輪でのメダル獲得数は、国別で日本に次ぎ第二位である。2021年東京五輪では団体戦で日本を破って金に輝いた▲日本の柔道は中学校部活が多く、そこから実業団〜五輪へピラミッド型を成している▲柔道の登録者数は五輪の競技種目の中で4番手である。サッカーがダントツ不動の1位。2位はこの30年で減りが目立つテニス、3位は反対に増加が目立つバスケ。4位は馬術(女子小学生に偏る)、5位が柔道▲フランスでは70's以降若年化が進み、子どもの教育としての柔道がメイン。2024/06/01

たろーたん

3
フランスの柔道人口は50万人で、日本の20万人よりも多い。加えてフランス人口は日本の半分なので人口比で見るとおよそ5倍である。ただ、柔道選手が沢山いるという訳ではない。フランスの柔道人口の大半は小学生によって占められており、柔道は子供のスポーツとして定着しているのだ。2019~20年では12歳以下の小学生が全体の60%強を占めており、この傾向は数年変わっていない(日本20%)。逆に中・高校生の柔道人口は全体の10%強程度で、日本が部活動で柔道を始めて中・高校生時代で人口が増加するのとは異なっている。(続)2025/05/12

志村真幸

2
 フランスは柔道の競技人口が世界でもっとも多く、オリンピックなどでも好成績を残すようになっている。また子どもを対象とした身体教育でも、柔道が占める役割が多い。  本書は、そうしたフランスでの柔道教育の実状と歴史をまとめたもの。実態が紹介されるとともに、日本で過度に評価されがちな側面にブレーキをかける意識もあるようだ。  5名のスポーツ研究者が調査執筆しており、よく行き届いた内容だ。データも豊富で信頼度が高い。日本とは異なる柔道の在り方を理解できるとともに、体育やスポーツの社会的役割の差も見えてくる。2022/09/10

げんざえもん

1
フランスと日本の柔道を「教育」の視点から分析 。仏柔道の現状と歴史、仏の教育制度、日本柔道の戦後史、全中の歴史と問題点、そして「教育としての柔道」の日仏比較を論じている。タイトルは「フランス柔道…」なのだが、日本の部活動の構造的問題が気になる。「学校での柔道事故が絶えないのは、勝敗にこだわる指導者の姿勢が子どもの柔道に現れるため」「子どもを、大人達の勝敗に対する興味の玩具にしてはならない」との言葉は、柔道のみならず他のスポーツや合唱部など文芸系の部活にも当てはまるのではないか。2025/06/12

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