内容説明
―――
【収録作品】
「国民的未亡人」
国民の誰もが知るスター俳優であった夫を亡くした私は、一般人にして有名「未亡人」となった。
夫との美しい思い出とともに逗子で静かな暮らしを送っていたが、三回忌を迎え、TVの追悼特番に出演するため東京へ向かう。
「ただ君に幸あらんことを」
大学受験期に僕が母から受けてきた酷い仕打ちを、今は六歳下の妹が受けている。
一人暮らしの家に妹を避難させ、母との間に入って守ろうとするが、僕自身の傷がうずき出していた。
【電子版特典】
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひめか*
22
前作の方が好み。今作は2編でどちらもどこか暗い雰囲気を感じる。国民的未亡人:きらめく芸能人スターの妻が夫の死後、取材を受けたり彼と関わった人々と交流することによる、彼の真相や思い出、心の揺れが描かれる。化粧の描写が細かくて驚いた。浮気疑惑での心の揺れも上手い。表題作:子供の生き方を強制する母親に何度も胸が苦しくなった。実家の閉塞感がつらい。自分と同じ苦しみを妹が受けて、妹を逃がそうと手を差し伸べる妹想いの優しさが好き。でも最後の行動は妹のためになったのかわからない。母親は早く自分の過ちに気づいてほしい。2025/06/01
桜もち 太郎
19
ラランドニシダが書く中編二作品。読みやすく登場人物たちの心の深み、痛手を感じ取ることができた。「国民的未亡人」の読み始めは何か物足りなさを感じたが、それさえ作者の意図であるような気がして、死んでしまった夫の裏切りに揺れる未亡人の心情が上手く描かれていた。「ただ君に幸あらんことを」は、大学受験に挑む妹が母親から受ける仕打ちは、精神的虐待といってもいいレベル。何が母親をそうさせるのか、子どものため?見栄のため?兄妹に対する執着には憐れさを感じる。四人家族それぞれのバックボーンをもう少し掘り下げて欲しかった。2025/02/01
カリスマ
13
『国民的未亡人』…国民的スターである夫の追悼特番に出演した際の共演者の一言から、今は亡き夫の本当の人物像に迫る未亡人の話。他者がどう言おうと自分の思うことを信じる強さ、最も近い存在である家族との向き合い方が描かれている。『ただ君に幸あらんことを』…いわゆる毒親から受験期の妹を守ると同時に、親の言いなりに育ってきた自分の過去と決別する兄の話。子を支配しようとする母・寡黙な父・弱さを見せない妹の間を不器用ながら取り持とうとする兄の繊細な心情描写が的確で、兄視点から描かれる妹を見ていると胸が苦しくなった。2025/02/20
kana
11
クズ扱いだけど読書芸人として知られているニシダの著書、初読みでした。表題作の兄妹の辛くもどかしい状況が上手く表現されていて、読んでいてとても息苦しくなった。親がどんなに嫌いでも苦手でも、親の思いもかなえてあげたい気持ちと認めてほしい気持ちが拭えない部分もある。親子って、家族って難しい。せめて子供だった頃の気持ちを忘れない親になりたいものだなとしみじみ思った。2025/02/28
chiyamofu
7
佐久間さんのYouTubeでサーヤさんが褒めていたので買いました。どちらもよかったですが表題作がよりよかったです。「不器用で」も読もうかな2025/03/08
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