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内容説明
~事業承継支援は「課題を見つけること」がすべて~
事業承継支援の本質は、問題の所在を特定することにあります。問題を的確に見つけ出すことができれば、事業承継はほぼ解決したと言えるでしょう。
中小企業の事業承継をサポートする人々は多岐にわたり、行政機関から金融機関、士業に至るまで様々です。しかし、残念ながらこれらの支援者が単独でお客様の問題を解決できるわけではありません。
事業承継は非常に複雑です。事業承継は多面的であり、それぞれの専門家が持つ特定の領域の問題にのみ対処することが一般的です。しかし、事業承継の成功には、これらの様々な分野の専門家が協力し、統合的なアプローチを取る必要があります。
そこで、本書では事業承継に関わる典型的な問題点を明確にするために、「フレームワーク」という概念を用いています。このフレームワークは、事業承継の問題を3つの主要な分野に分類し、それぞれの領域で発生し得る問題点を探索し、特定するための道しるべです。
事業承継に関わる問題は以下の3つのカテゴリーに大別されます。
?「事業性の問題」: 事業の持続可能性や成長性など、事業そのものに関わる問題点
?「経営者の生き方の問題」: 退職後の老後生活や後継者のキャリアプランなど個人的な側面
?「承継手続きの問題」: 承継プロセスに伴う法律、財務、税務
支援者は、これらの分野に注目し、それぞれの領域での問題点を特定する必要があります。たとえば、生命保険セールスマンや証券営業マンであっても老後資金の準備だけでなく、事業再構築やM&Aの支援が求められます。税理士であっても、税務申告だけでなく、事業再構築やM&Aの支援が求められます。
本書に示された「フレームワーク」は、これらの広範囲に渡る問題点を効果的に特定し、取り組むための基盤を提供します。このフレームワークに沿って問題点を確認し、見落としている問題がないかを3分野全体で検討することが重要です。
どんな状況でも、見落とされている問題点は存在する可能性があります。事業承継の支援者の皆さまは、本書の「フレームワーク」を活用することによって問題点を漏れなく発見し、多くの中小企業の事業承継を成功させてくださることを願っています。
目次
はじめに
■第1 章 事業を構成する経営資源
1. 経営資源引継ぎとは何か
(1)経営資源の引継ぎとその課題
(2)経営資源の集約と生産性向上
(3)経営資源引継ぎの誤解と現実
(4)経営資源引継ぎ支援の重要性
(5)経営資源引継ぎの具体例
(6)引き継ぐべき経営資源の選択
2. 廃業の進め方
■第2 章 事業承継支援の基礎
1. 事業承継の支援が求められる3つの側面
2. 事業承継フレームワーク
(1)問題のマトリックス
事業承継フレームワークのマトリックス
(2)親族内承継に係る問題
【A-1】親族内承継に係る事業性評価の問題
【A-2】親族内承継に係る経営者の生き方の問題
【A-3】親族内承継に係る承継手続きの問題
(3)従業員承継に係る問題
【B-1】従業員承継に係る事業性評価の問題
【B-3】従業員承継に係る経営者の生き方の問題
【B-6】従業員承継に係る承継手続きの課題
(4)第三者承継に係る問題
【C-1】第三者承継に係る事業性評価の問題
【C-2】第三者承継に係る経営者の生き方の問題
【C-3】第三者承継に係る承継手続きの問題
3. コンサルティング業務の顧客獲得
4. 対話による問題発見と支援者の役割
5. PMI による第三者承継の成功
(1)PMIとは何か
(2)PMIの考え方
(3)統合作業の3つの領域
(4)シナジー効果
■第3 章 親族内承継の事例研究
1. 贈与税の納税猶予制度(特例措置)
2. 事業承継税制と資産承継
3. 金融機関からの資金調達
本事例のまとめ(遺産分割の問題)
4. ファミリー・ビジネスの基本
5. 経営環境の変化への適応
6. 少数株主
7. 事業用資産である土地の承継
8. 後継者による事業性評価
9. 事業性評価の進め方
10. 経営承継と後継者教育
11. 引退する経営者の気持ち
■第4 章 従業員承継の事例研究
1. 後継者の決意と覚悟
2. 過大な債務
■第5 章 第三者承継の事例研究
1. マッチングと条件交渉
2. 譲渡スキームの選択
3. 従業員と第三者の選択
4.M&Aにおける価値評価と税務
5. M&Aの売却プロセス
■第6 章 自社株式の相続税評価
1. 株式評価の計算例(1)
2. 株式評価の計算例(2)