内容説明
「生と死」を考える「希望」の書
人は死によって肉体は失くなっても、その人の思いや愛や言葉や行為は、遺された者たちの心の中でずっと生き続ける――。
88歳のノンフィクション作家、柳田邦男さんは、そのことを「死後生」と名付けました。
本書は、「生と死」というテーマに、半世紀あまり取り組んできた柳田さんの集大成的アンソロジーであり、逝く人、見送る人に贈る「希望」の一冊となっています。
【主な目次】
■「死後生」という希望の発見
■「人生の最終章」は自分で書く
■「さよなら」なき別れからどう生きなおすか
■わが心に生きる先人たちの「死後生」
日野原重明/金子兜太ほか
■「生きなおす」ための5つの視点
■「犠牲」――わが息子・洋二郎の「死後生」
■「死後生」の証――亡き人との15人の日常会話
■「人生の最終章」を支えた言葉たち
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
106
柳田邦男さんの死生観は、いつも、深くて温かい。「死後生」と言う言葉を提唱する。死後も人々の心の中で生き続ける精神的ないのちとして。本書で紹介される人たちの言葉や生き様が、深く心の中に染み込んできて、何度も目頭が熱くなる。日野原重明先生、デーケン先生、金子兜太さんと石牟礼道子さん、そして何より黒田裕子さんの見事な人生に心打たれる。死を前にした人と、大切な人を亡くして悲嘆にくれる人の双方に対して、「人間死んだら終わりじゃないんだよ」と囁きかける。「たとえ明日、世界が終わりでも、今日私はリンゴの木を植える」と。2025/02/27
tamami
57
本書を手に取り、何気なく開いたページに、「亡くなった人に寄り添ったことを身内の方が追悼記として書くということも広くみられるようになってきました。……。」日々どうしようもなく荒んでくる心を扱いかねていたときに、この柳田さんの言葉は思い切り響いてきた。「肉体は失くなっても、愛や思いは消えない。」という著者の信念に基づいた自身の体験や取材を通しての具体的事例が、数多く記される。間近な自分の死に向き合う姿、親しき人の死に遭遇した者の思い、コロナ禍における「さよなら」もなき死者との別れ、災害看護の創始者・黒田裕子さ2025/11/11
kawa
30
私は「人間、死んだら終わり」派。しかし、柳田氏はそうではなく、「人の精神性のいのちを映す最後の生き方や言葉は、遺された人の心に生き続け、その人生を膨らませる」と、「死後生」を主張する。「死生観」⇒①どのように「死」をむかえたいか。②死を目前にしてどのように生きるか。③死後に何を遺すか。「死」とはをライフワークにしてきた氏の言葉は重い。じっくり考えるきっかけになりそうな読書だった。2025/07/18
ぽてち
30
なにやら胡散臭いタイトルで、あの柳田さんがついに“死後の世界”を扱ったのかと思ってしまった。実際にはそうした宗教とかオカルト的な内容ではまったくない。「人は死によって肉体は失くなっても、その人の生きた証である生き方や行為や言葉や周囲に寄せた愛や思いは、家族や親密な関係にあった人々の心のなかで消えることなく生き続ける」ことを“死後生”と名付けた。そのうえで、如何に生き如何に死ぬかを多くの実例から考察した本だ。特に事故や災害(コロナも含む)によって、不本意な形で死を迎えたケースが印象に残った。2025/02/04
まゆまゆ
10
死を考えるとき、自分自身の死を一人称、身内の不幸を二人称、見ず知らずの人の不幸を三人称としたときに二・五人称で捉えられるような考え方を推奨する内容。人は必ず死を迎えるが、事故など準備できてない状況ではすぐには死を受け入れられないだろう。そんなときでも現実世界を生きていくには、身内と他人の中間くらいの気持ちで思い続けていけばいい。2025/02/28
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