内容説明
古今東西の言語と思想に通じた一代の碩学・井筒俊彦。その豊饒な思索の一側面を内側からトレースする。分節と無分節との同時現成。二重の見。事事無礎。そして、禅モデルと密教モデルの問題。意識構造モデルの問題もある。深層意識におけるイマージュ。コトバの本源的なはたらき。あるいは、意味分節理論もある。井筒は思想研究の方法論を強く意識していた。イスラーム思想の意味論分析に遡る仕方で、その強靱な思索の根幹を見定める。『意識と本質』以降の自在な語りを支えていた礎石。対話でもなく、比較でもない、複数の思想を自分の内で溶かしてしまう「インターペネトレーションのところ」。井筒哲学の深淵を静かに拓こうとする。
目次
井筒哲学を読む
1 「二重の見」の原風景(「二重の見」とは何か―禅師の三段階モデル;「分節と無分節との同時現成」とは何か―認識、存在、そして、言葉;道元「水、水を見る」―『正法眼蔵』と「二重の見」;「二重の見」―東洋哲学の基本構造)
2 深層のコトバ―意識構造モデル・意味分節理論・意味論分析(「二重の見」と「構造モデル」―深層意識におけるイマージュ;コトバの本源的な働き―禅モデルと密教モデル;意味分節理論―「気づく」ということ;意味論分析―『意識と本質』に先立つ英文著作の方法)
著者等紹介
西平直[ニシヒラタダシ]
1957年生まれ。専攻、教育人間学、宗教心理学、死生学、哲学、現在、京都大学教育学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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