内容説明
日本史学は「倭寇は日本人主体ではない」と立証した。それでは、彼らは何者だったのか。グローバルな視座から東アジアの長期的な構造をとらえなおし、倭寇が収束したとされる17世紀以降も次々と「海賊」が現れ、今なお「中華」の秩序を揺さぶり続けている状況を解き明かす。世界史の見方が大きく変わる、岡本史学の決定版!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
126
倭寇とは「東シナ海で暴れた海賊集団」と教科書にある過去の話でしかない。しかし実際は日本、朝鮮、中国の民でありながら完全に服属せず、海洋交易を通して結びついたネットワークであると見る。特に大陸では清朝が衰えると中華秩序への挑戦者として台頭し、中華民国建国後は政治をも動かすに至った。政権による統制に反抗し利益のためなら外国との協調も厭わないため、中国がバラバラに分離するかもと恐れた共産党と習近平は、徹底的な恐怖政治による中央集権で倭寇的考え方を抹殺しようと必死なのだ。倭寇は中国史そのものを規定したといえよう。2025/03/24
skunk_c
66
日本史における倭寇が南北朝~室町初期の九州北西部を拠点とした前期の海賊と、ちょうど戦国時代くらいに当たる日本・中国・琉球あたりの密貿易等を含む後期に分けて説明されているのに対し、中国史から踏み込もうという意図が前半に明らかにされていた。ところが鄭成功こそそれなりの説明があったが、本書の2/3は倭寇=華夷同体という見立てに基づく近現代史で、確かに面白い視点だが、やや強引に感じられる部分もあった。したがって、いわゆる従来の「倭寇」の詳しい解説本と思って読むと肩透かしを食う。後期倭寇の貿易の話を期待したのだが。2025/10/14
やいっち
59
日本史の扱いなのか、東洋史(世界史)の扱いなのか、分からないながら、気になってきた「倭寇」とは何か。海賊扱いでいいのか。書店で見かけて衝動買いした。歴史にも疎い吾輩なので、少しでも勉強したくて手にした本。2025/07/26
kk
25
図書館本。先学の業績を参照しつつ、「倭寇」とは日中混成の密貿易集団による騒擾事案の集合ではなく、中国中央政権のドグマ的な制度・政策と在地における社会的・経済的現実との摩擦が噴出する状況と捉える。後者は貿易などを通じて外部勢力の影響を色濃く受けることから、両者の関係は「華夷秩序」と「華夷同体」との均衡・相剋の問題に帰着し、明朝以降今日までの歴代政権を通じた宿痾の如きものと指摘。「倭寇」とは、中国史を通じた政治社会構造をあらわす現象であり、実は中国そのものだと論ずる。斬新で首尾一貫した、実に素晴らしい著作。2025/06/27
さとうしん
21
倭寇そのものに関する議論もあるが、どちらかというと倭寇が出没した時代以後の海の視点からの中国史というか、倭寇概念、倭寇性に着目した中国史という感じ。「倭寇」の「倭」の部分に着目したら前期倭寇と後期倭寇との区分はナンセンスだが、「寇」の部分に着目すると区分する意味が出てくるという話や、洋務運動から辛亥革命までの四象限の図式などは面白い。ちょっと議論が無理やり気味かなと思いつつも康有為や孫文の出身地、香港と台湾という地点など倭寇との符合に注目する所などはグイグイ読まされてしまった。2025/02/21
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