内容説明
私にとって能登は、やさしい土地だった――。二月の能登に降り立った作家が出逢ったのは、話したがりで優しい人々と、土地がもつ豊かな歴史。海女、漁師、賑わう朝市。不思議な伝承に彩られた集落の祭り。著者の旅路とともに能登半島に魅了される小さな旅行記。渡島半島から函館を巡る『津軽海峡を越えて』を併録。〈解説〉渡邊英理
【目次】
○第一部 能登早春紀行
・第一章 雪雷 能登・志雄町
・第二章 潮しぶき 能登・羽咋市
・第三章 風待港 外浦・富来町福浦
・第四章 千浦の又次 外浦・富来町赤崎
・第五章 栗ひろい 外浦・富来町富来
・第六章 アワビ 奥能登・輪島市
・第七章 民話 奥能登・珠洲市高屋
・第八章 白い山 奥能登・珠洲市大谷
・第九章 お山祭り 内浦・能都町
・能登早春紀行 あとがき
○第二部 津軽海峡を越えて
・第一章 津軽海峡
・第二章 旅は道連れ
・第三章 少年と姥神
・第四章 函館旅情
・津軽海峡を越えて あとがき
○文庫解説
旅する言葉、海と女の思想圏 渡邊英理
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mori
7
子どもの良さは、自分が子どもであることを忘れている点にある。 そんな風に子どもを見れるようになりたい。そんな風に、歳を重ねていきたい。2025/03/20
バーニング
2
1980年代前半、今から約40年前の能登と函館を旅する一冊。森崎和江が何を見聞きして、どういった意図でこの文章を書いたのかは解説に詳しいが、単なる紀行文ではなくフィールドワークするように各土地の人々の歴史や記憶を掘り起こそうとしていることがわかる。輪島や珠洲、羽咋といった一年前の地震で何度も目にした土地を訪れる森崎の眼差しを、現代に生きる読者が時間を超えて追体験できるのはとても貴重な体験だと思うし、当時すでに失われゆく文化や仕事を記録したこの本は珠玉の出来だとも思う。2025/01/27
belier
1
北陸の能登半島と北海道の渡島半島を巡る二つの旅行記。80年代半ばに書かれた郷愁を誘う名品だ。聞き書きの名手らしく人々から多くの物語を引き出す。美味そうな料理の話も多い。民俗学的なロマンも紡ぐ。著者の住む福岡県から輪島に移り住んだ海女たちがいて、能登から松前に渡った人たちもいたという。海の民の話を思い出した。江戸時代には北前船が渡島では江差、能登では福浦を寄港地とし栄えていた。明治以降にさびれてしまう。とくに福浦。ちらりと能登の外浦側に原発の建設案があると書いてある。地図を見ると志賀原発はすぐ近くだった。2025/04/21
Go Extreme
1
能登の自然と気候:雷起こし 冬の雷 雪の影響 漁期の開始 天然港 海と山の調和 地域文化と歴史:北前船 遊女屋の歴史 気多神社 伝統祭り 信仰の変遷 文化の継承 郷土芸能 漁業と産業:海女漁 アマエビ漁 福浦の港 漁協の役割 地元産品 経済基盤の変遷 漁業技術 生活様式と風習:地元方言 生活の知恵 食文化 共同体の支え合い 旅人との交流 季節の行事 里山の暮らし 旅の意義と展望:文化の発見 人とのつながり 伝統の価値 未来への希望 地域社会の重要性 旅の記憶2025/03/04
あ
0
能登と森崎和江に惹かれて読んだ。名文。 なのだけど、函館編で森崎が描く旅情にはどことなく植民地主義に対する批判の目がなくて少し不安になった。アイヌを思う気持ちと同時に自分たちの植民地主義をもう少し批判しても良いのでは。(読めてないのかしら)2025/05/05
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