内容説明
巨樹,龍宮,鬼,お釈迦様….東アジア,漢字漢文の文化圏全般に共通して親しまれる説話モチーフは一体どのように誕生し,伝播していったのだろうか?東アジア説話研究の第一人者である著者が,世界観・群像・西洋との交流という三つの軸から,経典や絵画など,豊富な資料を駆使し,説話がたどってきた道のりを跡づける.
目次
序章 説話への招待
Ⅰ 東アジアの世界観
1 須弥山の図像と言説――アジアの宇宙観
2 龍宮をさぐる――異界の形象
3 巨樹の宇宙――環境と生命
Ⅱ 東アジアの群像
4 四つの門をくぐると――転生する釈迦伝
5 宝誌の顔――東アジアの肖像
6 見える鬼と見えない鬼――鬼の東アジア
Ⅲ 東アジアと東西交流文学
7 授乳の神話学――摩耶とマリア
8 アジアのイソップ――〈東西交流文学〉の世界
9 二鼠譬喩譚・「月のねずみ」 追 考――説話の〈東西交流〉
結章 説話の東アジアへ
参考文献一覧
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さとうしん
14
説話学というより説話を題材にした図像に対する図像学的な議論が多い。対象とする地域も東アジアに限らず、特に第Ⅲ部は釈迦の母の摩耶の授乳とマリアの授乳を比較したりイソップ物語の東アジアへの伝来を扱ったりと世界規模になっている。第6章の鬼に関する議論は『怪異から妖怪へ』の鬼の章と併せ読むと面白い。こちらは仏教医学へと思わぬ方向への展望が示されている。『三国志平話』冒頭の裁判説話と本邦の幸若舞曲などとの距離が近いという指摘も面白い。2025/01/04
Go Extreme
2
序章: 説話への招待 説話の捉え方: 中国・経律異相や法苑珠林などの仏典から発展 韓国とベトナムの資料の限界 東アジアの世界観: 須弥山ー不動の象徴 帝釈天とその神話ー神話は人間の欲望や慈悲心の教訓を含む 説話の特徴: 多様性ー地域や文化で多様に展開・朝鮮王朝時代の作品 野談や歴史叙述での説話 巨樹と神話: 巨樹を神聖視 樹下の神々の談合や神秘的な出来事 文化的な視点: 文化の相互作用ー文化や言語交流→説話に影響 文字や表現方法発展→文化的アイデンティティ 現代への影響: 古代説話や神話→文学や芸術に影響2025/01/29
takao
1
ふむ2025/07/07
もち
1
仏教に関するものが多い印象を受けた。須弥山と龍宮が縦に繋がっている世界観とは知らなかった。宝誌、二鼠譬喩譚(月のねずみ)については、存在そのものを知らなかった。摩耶夫人や蓮華夫人の乳が飛んで息子の口に入る話は私からすると気持ち悪いのだが、当時は違和感がない理由でもあったのだろうか。イソップ物語が古くから伝来しており、戦国桃山以降に再伝来しているのもおもしろい。2025/03/24
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