内容説明
アフリカにある動物たちの王国ジダダは、植民地支配から民を救った建国の父オールド・ホースの政権誕生40周年を迎えた。だが、ジダダの民たちは気づいている。この栄光の影で犠牲となる者たちの声を。ブッカー賞最終候補に選ばれたジンバブエ版『動物農場』。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヘラジカ
38
『あたらしい名前』の作者が再びブッカー賞最終候補にもなった作品だが、あのシンプルな自伝的な連作短篇小説とは全くテイストの異なった、謂わば”マジック・リアリズム”の大作である。動物としてのカリカチュアが濃くなったり薄くなったりを繰り返す様は非常に混沌としており、民話のような空想世界を感じさせる瞬間もある一方で、大半は現実の独裁国家そのままを切り取った「醜悪さ、悍ましさ」を感じさせる。グラデーションというか、マーブル模様というか、混じりあう色のそれ自体が強烈な「風刺」なのだろう。非常に先鋭的でユニークな作品。2025/02/04
taku
14
『あたらしい名前』が良作だった著者。こちらは、ジンバブエの政治と歴史の寓話。政治の腐敗と権力の堕落、革命と政変を描く。話が長く複雑になっていることや、動物でやる必要があったか度々疑問で、『動物農場』ほどわかりやすく見事な寓話化に感じられなかった。力を込めて書き上げたことや、示したいことは伝わるが。物語は未来を感じさせるが現実世界はどうなのだろう。そして日本の政治は。わるいことに馴らされてしまうのは怖いことだな。2025/06/22
おだまん
10
現代の人間社会を擬動物化した寓話、とはいえまんま人間社会。言い回しがくどくて読み疲れてしまった。2025/02/27
Mark.jr
4
タイトルから分かる通り、かのオーウェルの「動物農場」をオマージュした政治風刺ものです。現代はGloryですが、題が"農場"から"工場"からグレードアップしたように、舞台も自治体みたいなコミュティから立派なアフリカの独立国になり、ボリューム、キャラクター、サブエピソードも盛りだくさん。ちょいちょい事情通による解説が挟まるのも皮肉が効いています。SNSもしっかり取り上げられており、まさに現代で「動物農場」を書くなら、こうなるだろうと思わせる作品ですが、登場人物を動物にする必要があったかは、ちょっと疑問です。2026/01/27
KiZi
3
邦題(原題Glory)からはパロディ色の強い作品かと思っていたが、傍観者だった動物たちが市民革命を遂行し切るまでを描くことで、希望と栄光に満ちた未来を予感できた。オールド・ホース時代のパートは、国民の窮状だけでなく独裁者の「ハートブレイク」も描かれていて、『族長の秋』っぽさを感じた。ジダダの動物たちは、40年以上もの悪政のせいで耐えることに慣れてしまったり、「アナザー・カントリー」でしか怒りを表明できなかったりするが、日本人としては共感せずにはいられないだろう。有権者としてのあるべき姿を考えさせられた。2025/06/02




