内容説明
太平洋に浮かぶ神話的な島と、近未来の台湾。二つの島に巨大な「ゴミの島」が押し寄せる時、謎の「複眼人」が姿を現す――。世界14か国で翻訳。台湾現代文学の担い手による代表的長編、待望の本邦初訳!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shun
31
台湾作家の呉明益による小説3冊目。現実と空想が織り成すマジックリアリズムな作風で、本作においても台湾の風土や情景が幻想的描写と合わさりどこか詩的な世界観を作っているようです。近代的な人々の暮らしがある一方で経済発展により大量のゴミが生み出され、海洋を漂う島となって先祖代々の土地が損なわれようとしている。向かう未来はディストピアのようでもあるが、それよりも作家が物語に込めたのは魂の救済や慈愛なのではないか。超自然な海や山が語られるときの、まるで本当に霊魂が存在しているかのような温かさ。複眼の眼には何が映る。2025/02/04
Matoka
8
最後の解説まで含めてとっても良かった。言葉の深さと美しさに打ちのめされた。2025/04/23
おーえ
6
結末が衝撃。この結末によってこの本の環境破壊へのメッセージが強烈な印象になる。 ところどころで出てくる水の慣用句がいい。 魚は釣ってみるまでどこにいるかわからない、とか。 人間の涙で海の塩分濃度が全く変わらないように動物としての人間が自然に介入できる余地は本当は限りなく少ない。2025/06/15
イツキ
6
環境問題や生物種の絶滅や死というものについて考えさせられる作品でした。人間たちが捨てたゴミが島のようになって台湾の島に打ち寄せられるという印象的なストーリーを軸に全員が身近な人との死別を経験している登場人物たち。そんな重苦しくなりそうな構成ながら不思議と読んでいてそこまで気持ちが落ち込むことはない不思議な空気感の小説でした。2025/04/12
アメヲトコ
6
原著2011年刊(台湾)、21年邦訳、25年1月文庫化。呉明益さんの小説は現実と幻想の重ね合わせがほんとうに巧い。本小説では環境問題や台湾原住民(邦訳では「先住民」を使用)の世界など多様なテーマが交叉しますが、軸となるのは生と死、人間にとっての記憶。物語はどこまでが現実でどこまでが空想なのか、複眼人が見る世界とは何なのか、読み終えたいまも色々な思いが去来します。2025/04/01
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