内容説明
地球から一万光年離れた惑星カザンで、文明の急激な成長と滅亡が観測される。すでにワープ航法を手にしていた人類が、急遽この星へと送り込んだ調査チームの750名は、到着後完全に消息を絶った。カザン文明はいかにして滅び、先遣隊はなぜ遭難したのか? 原因究明のため地球を出発した第二次調査隊は、文明の痕跡が残る衛星の調査ののち、厳重な警戒態勢のもと惑星地表へ降り立つ。降下メンバーには最愛の妻である蒼井をかつて喪った、カザン文明調査班班長・吉野の姿もあった──現代宇宙SFの旗手が描く、緊迫のファースト・コンタクトSF。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
128
『知能侵蝕』に続いて書かれたためか設定に使い回しな部分もあるが、物語としては面白かった。書きすぎが目立つ組織描写が最低限に抑えられていて、中だるみせずに読ませる。地球からの支援が受けられない1万光年先の惑星カザンで思いがけぬ事態に決断を下さねばならない調査チームの困惑と、欲望や独断で動く人の弱さや錯誤がドラマに疾走感を与えている。カザンの正体や結末は『ソラリス』を思わせる予定調和風で感動は薄かったが、互いに理解し得ない存在と人はいかに対するべきかというファーストコンタクトSFの命題に正面から挑んだ作品だ。2025/04/05
さつき
63
惑星カザンへの第二次調査隊は、第一次調査隊の遭難とカザン文明の滅亡の理由を調べに派遣されます。次から次へと予想外の出来事が起き目が離せませんでした。ラストはハッピーエンドなのかな。悪役が最初から最後まであまりに嫌なやつで、こんな人さすがにいないだろうと思ってしまいました。2025/04/05
ヒデキ
43
地球から1万光年の星系で行われたファーストコンタクトを描いた作品 惑星カザンへ向かった第二次の調査隊は、現地で謎の生命体と遭遇した。そこには、第一次調査隊をコピーしたと思われる人がいた・・・ 惑星にいる生命体とのコンタクトが、途中で急に成立したように思えて「なんで?」と思いました。 エンディングを描きたくて書いたように思えてしまう展開でした2025/04/23
小太郎
39
大好きなファーストコンタクト物だし、林譲治さんだしと楽しみに読みました。一万光年先の惑星カザンに派遣した調査隊750名が消息を断ってしまい、それを調べるために第二次調査隊が派遣されます。ここまでは中々読ませるしカザンの特異な生態も中々ユニーク。でも中途辺りから息切れ状態で、こういう話はどう書いても、そこそこ面白くなると思うんですが(それも林さんだし 笑)あとはエンディングも含め残念マークが終始ついて回った一冊でした。★2.52025/11/24
tom
18
売り込み文句は「緊迫のファーストコンタクト」だけど、どうだろう?という読後感。この著者の書くもの、いつも、どこかが決まらないという感じがあるのだけど、この物語もまた同じ。異星人との不思議な脈絡の意思疎通、そしてまた、これも不思議な謀反話などなど。あっというまに流し読みに化けてしまった読書で終わる。2025/09/07




