内容説明
〈この50人の中に、きっとあなたの味方がいる〉
多くの読者に愛され、読み継がれてきた韓国文学の必読の名作が、細部にさらなる磨きをかけて再登場。
50人の登場人物が、あやとりのようにすれ違い、重なりあい、結び合う。
一度読んだ人も、初めましての人も。読めばだれかと話したくなる、悲しくて、おかしくて、痛くて、愛おしい物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kanako
16
ゆっくり時間をかけて読み終えた小説。50人の登場人物の人生が進行し、時には止まり、時に交差する。全員が主人公であり、全員が脇役でもある。ライトな読み口で読みやすいが、描かれる内容は思いがけず辛く悲しいものもある。登場人物に医療関係者が多いこともあり、大切な人や知らない人の死が見え隠れする。でも、人生って急激に辛く悲しい出来事に遭遇するものだよなと思う。奇しくも今日韓国の悲しい事故のニュースを目にしてしまったので、登場人物たちのように、手を携えながら前に進むことを願ってやまない。2024/12/29
二人娘の父
9
新版なので厳密には再読とは言えないだろう。3年も経てば多くのことを忘れているんだな、という思いでページをめくった。50人の主人公が交差しながら、あるいは密接に絡みながら同時代を生きていく。そんなことが物語となる奇跡を、小説家という人たちはやってのけてしまうのだと、改めて感動する。「みんな、生きてきたように死ぬものね」。社会の中で、最も死と関係の深い、病院を舞台にしたからこその科白。久しぶりに電車の中で涙をこぼした。2024/12/31
umico
8
すべての物語の最後に「そして人生は続く」という言葉が続きそうな、50人の人生の断片。はじめはサラサラと読んでたのだけど、後からじわじわ効いてくる文章だった。50人もいるし、ここから何を受け取るかは読み手しだいなんやろうなぁ。ひそかに司書であり続けるという生き方、わかる。私も最近職業とか肩書とかに捉われる必要はないのではないかなと思いはじめている。今の仕事は好き。でも本も好きだし、子どもたちと学ぶのも好きだった。じゃあそんな全部を生業(なりわい)として生きていけばいいと最近思っている。名前を覚えられない…2025/03/14
うちこ
5
なぜいまこういう生活をしていて、こういう人間関係の中にいるのか。読んでいるうちに韓国の社会が多角的に見えてくる本でした。 この本一冊を読み通すことが、新しい業界に転職をしてその商慣習に慣れていく時の感覚とそっくり。人を知ることを通じてしか、その環境を理解することってできないんじゃないか。 ほのかな親しみを感じている “顔見知りの、隣の部署のあの人” の独白を盗み聞きしているようで、ページの進み方に不思議な吸引力があります。 ちょっとした表現に胸をぐわっとかき乱される瞬間がいくつもありました。2025/03/21
natsumi
4
仕事と通信のレポートの合間に。他人だけど他人じゃない様々な人たちの生きる姿に、仕事も勉強でもないひとりの人として触れて、意識を真ん中に戻すような読書でした。人生の中で避けられない身近な死の気配も含まれているから、どの物語もかけがえの無い誰かのリアルだった。最後はちょっとハラハラ。物語の良さ、輝き、みたいなものにたくさん触れた感。2025/06/19