内容説明
人の渇望(ねがい)が固有の魔法になる異世界。固有魔法を扱い邪神から人類を守護する超越者〈アデプト〉たちには、あらゆる権利が与えられる。
転生したコノエは永い修行の末、遂にその資格を得たのだった。
――惚れ薬〈きんしやくぶつ〉を使うために。
「……惚れ薬があれば、僕でも、誰かの一番になれるんだろうか。」
前世のトラウマから、人を信じられず生きてきたコノエ。そのせいで固有魔法が発現せず、転生しても孤独に苦しんでいた。そんな彼に助けを求めてきたのは、死病に侵された金色の少女で――。
「私、コノエ様の為なら何でもさせて頂きますので!」
これは、渇望〈ねがい〉を持たない白い孤独が、黄金の愛と出会う物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
わたー
30
★★★★★面白かった。孤独に死んだ前世を悔い、異世界転移をした今世こそは親しい誰かと共に生きたいと考える主人公。転移者たちの教官を務める女性から、人類救済の最前線に立つ代わりにあらゆる特権が認められている「アデプト」になれば、合法的に奴隷ハーレムを作って禁止薬物で自分に好意を抱かせることも可能だと唆され、25年。ようやくアデプトとなった彼が、死病に侵され肉体が腐りながらもなお、高潔であり続けたエルフの少女と出会うことから始まる物語。いや確かに雰囲気は大好きだし、孤独だった青年が少女と出会うことで愛を知り、2025/01/16
和尚
27
タイトルと表紙で購入。めちゃ良かったです。 前世の地球で心は満たされることなく生涯を終えた主人公のコノエ。転生した舞台は神様も身近な異世界で、生命魔法と呼ばれる難度が高くしかし世界に必要とされるものを努力で習得。その理由は「惚れ薬奴隷ハーレム」のためで。 この文字に付与されてるの初めて見るルビにくすりとなりながら、章が変わり、空気も変わり、そこからは一気でした。 救いながら救われ、救われながら救う。 いやー良き終わり、良き物語でした。 カクヨムに続きがあるので読みます。2025/02/07
よっち
27
絶望しかなかった前世から異世界転生したコノエ。永い修行の末に邪神から人類を守護するアデプトとなった彼が、死病に侵されたテルネリカと出会うファンタジー。希少ゆえにあらゆる権利が与えられるアデプトになりながら、死病と魔物の侵攻に苦しむ街を救うためにやってきたテルネリカの願いに応えたコノエ。死病を癒やし魔物を掃討する過程で、傍らにいてくれる彼女の存在が大きくなっていく中、彼との契約を果たすために姿を消したテルネリカ。そこから明らかになっていく背景があって、かけがえのないものを自覚してゆく結末がとても素敵でした。2025/01/11
まっさん
24
★★★★☆ 人の渇望が固有の魔法になる異世界。前世にて孤独を極め、そして誰にも悲しまれずその生涯を終えた男・コノエは、邪神や魔物によって人の命が奪われ蝕まれる世界で人類を守護するアデプトへと至る。しかし、孤独に過ごしてきた彼に特別な想いは存在しない。あるのは真面目に役割を果たし、こんな自分に寄り添ってくれる相手を見つける事。ある日、身体を、そして魂をも腐りながら死に至る病・死病に侵されたエルフの少女を目にする。死にかけの彼女が抱く願いとは。渇望を持たない白い孤独が、理解不能な黄金の愛と出逢うお話… →2025/02/21
サキイカスルメ
21
転生した異世界で真面目に努力し続けて、超越者〈アデプト〉という特別な存在になったコノエ。彼の望みは孤独に死ぬことがない未来。深い孤独を埋めるのは、君との恋の物語。大好き!!自分への自信も言葉も、他人への強い感情も持てずにいた主人公コノエが、テルネリカとの交流と街の様子を見て少しずつ考え成長する描かれ方がとても良かったです。テルネリカはもちろんなんですが、神様もすごく可愛くて好き。塔の上での静かなシーンが好きです、コノエの気持ちも相まって泣いた……。テルネリカ視点での出会いと恋の話は良すぎましたよね。2025/01/15