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内容説明
鳥類の運動能力は生物の中でも別次元だ。鳥は哺乳類などとは別次元の「スーパーミトコンドリア」を持っているからだ。この形質は約2億5千年前に起きた大絶滅(PT境界)後の低酸素という強力な選択圧のもとで、原始的な爬虫類(双弓類)から獣脚類(恐竜の一群)が進化する過程で生み出された。中生代の覇者となった獣脚類、その後継者である鳥は、低酸素への適応を通じてなぜ驚異の能力を獲得できたのか。独自の説を交え迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
フク
16
#読了 気温が高く酸素濃度の低い三畳紀に生まれたことで、獣脚類が鳥類に受け継がれる形質を手にできたとする。 特に細胞の基本設計から異なる点が大きなアドバンテージを生み出しており、とても羨ましい。 図書館2025/02/24
スプリント
11
スーパーミトコンドリアがすごい。 運動性能特化型な進化をとげ地上から空中へ生存エリアを移した過程が興味深い。2025/04/13
春風
8
獣脚類の気嚢システムについて詳しく知れるかと思い手に取るも、胡乱な言説が始終展開されてただただ辟易させられた。例えば国際地質科学連合(IUGS)に1989年時点で相応しくないと退けられたK-T境界という語を使用している(現在ではK-Pg境界という用語の使用が通例)。また「化石からゲノムサイズを確実に推定する方法」なるものが紹介されるが、これも「ジュラシックゲノム」なる造語を利用し、この間接推定を基盤とし、推論に推論を重ねる方式で自身の世界観を開陳しているようにしか読めなかった。記して識者の後考を俟つ。2025/08/22
もっぱら有隣堂と啓文堂
8
どうしてアネハヅルは8千メートル超のヒマラヤを越えられるのか。低酸素応答はヒトとアネハヅル、ひいては鳥類とではどう異なるのか。テーマは壮大。でもリアルもとっても壮大だったよう。筆者は鳥類が低酸素だった三畳紀に初期獣脚類が獲得した形質を受け継いでいると説く。まず気嚢システムと隔壁式の肺。それからゲノムのダウンサイジング。なんと哺乳類の三分の一しかない。これによりインスリン感受性を失い、スーパーミトコンドリアがエネルギーを産出し続け、肺の壁も薄くなる。活性酸素が少ないので老化も抑制される、など。すごいな、鳥は2025/02/20
ゆびわ
4
面白かった〜。 買った理由がちょっとアレだけど、読み始めたら面白くて、恐竜を研究することの面白さが少しわかった気がする。 進化論的な話もあって、低酸素で恐竜の時代から生き残って進化をしてきた鳥類。 スーパーミトコンドリアとかインスリンのこととか、ちょっと難しいかもと思ったけどす分かりやすく使い付きなので読みやすかった。2025/06/05