平等について、いま話したいこと

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平等について、いま話したいこと

  • ISBN:9784152104014

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内容説明

資本主義の果て、大いなる格差に覆われる現代。教育やヘルスケアを「脱商品化」するには? 左派はなぜ世界的に弱体化したのか? 大学入試や議会選挙にくじ引きを導入すべき? 当代一の経済学者と政治哲学者が相まみえ、真の「平等」をめぐり徹底的に議論する

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

150
この対談は頗る面白い。二人の違いが明確:政治や経済によって不平等を克服する方法を具体的に模索するピケティ教授と、哲学者として理念的にアプローチするサンデル教授。不平等は、「尊厳」の問題が重要であり、特に「能力主義」が共通善を蝕んでいるというサンデル教授の指摘に首肯する。一方、ピケティ教授の社会民主主義、連邦制の国際社会主義との主張は、跋扈する右派に対するアンチテーゼであり、失速気味の左派へのエールである。市場に解決を委ねるのは無責任であり、今こそ政治的熟慮プロセスが大切とする二人の姿勢は一致している。2025/03/12

あすなろ

93
マイケル・サンデルとトマ・ピケティの対談。これは買って読んでしまう。平等の3つの側面における対談。経済に於ける所得と富の再分配について。政治に於ける発言権、権限、参加について。尊厳・身分・尊重・承認・敬意・尊敬についてである。行き過ぎた20世紀流社会民主主義の大きな難点の是正、左派がなし得なかった経済構造の在り方の問い直し。その他、教育改革に累進課税等への考え方。興味深く、薄い本であるが読み入ってしまったのである。いろいろ社会の在り方について学術的に考えさせてくれるこうした本を偶には読むべきなのである。2025/02/02

Willie the Wildcat

68
機会への参画権と伴う尊厳。経済の鍵は、「再分配と脱商品化」。累進課税の功罪と、財や社会慣習の価値の棄損。第3章で触れた「2つの恐れ」が、時間軸を操れない。一方、能力主義の「2つの問題」が齎す、参画機会の軋轢。1点目が悲しき現実。「共通性の醸成」に同感も、国際主義の新しい枠組みに実感がわかない。教育・コミュニティなどのSmall Startの積み重ねあるのみ、時間との闘いとなるのは必須。原題への私の回答、It does not always have to be equal but reasonable!2025/03/13

シャコタンブルー

59
サンデルの「なぜ不公平等が問題なのか」の問いにピケティが現実社会の趨勢を説明する。嚙み合わない二人の会話で始まったが、次第に白熱する討論に引き込まれた。「能力主義」アイビーリーグの大学の入学者をある一定水準以上の能力があればくじ引きで選抜することを提言しているが、その意義も一理あると思えた。成功者は傲慢に、取りこぼされた人は屈辱感を味わい、失敗も苦労も自業自得となる現実・・ 二人の意見が一致しているのが累進課税で社会保障制度を発展させ相続財産の受け取りを保証する相続税を確立することだったのも興味深い。 2025/02/16

よしたけ

45
グローバリゼーションや金融化、能力主義を無批判に受け入れた旧来のリーダー層が問い直せなかった課題を、サンダースやウォーレンの民主社会主義政策で再提示する構成が鮮やかだ。累進課税強化や従業員の取締役会参加、公立大学・医療の脱商品化といった「中身ある改革」を、ポピュリストの怒りではなく合理的ビジョンとして描き出す手腕は説得力がある。学歴や利益偏重を打破するくじ引き入試や議員選出案など、制度設計への具体的アイデアが豊富で、読者に実践的思考を促す意欲作。制度改革の歴史的系譜を対話形式で辿る構成も読み応えがある。2025/06/20

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