内容説明
こことは別の場所に行き、ここにいる自分とは別の自分になってみたい――。盗賊にさらわれることに憧れていた少年時代、シルクロードを旅する私に父が詠んだ一句、北欧の小さなホテルでの会話から得た教訓、外の世界へと足を向かわせた熱の正体、人生の岐路となった『危機の宰相』、高倉健との偶然の出会いから始まった交流、そして永遠の別れ。忘れがたい無数の日々を追憶するエッセイ集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
99
同じ年代であるせいか、書かれているものに非常に同感を覚えます。ほとんどエッセイは書かない主義であった沢木さんが、このような小文を書いていく経緯やさまざまな場所で出会った人々との交流などが読みやすい文章で書かれています。特に「極楽とんぼ」という沢木さんが若いころに出会った編集者とのやり取りや「深い海の底に」の高倉健さんとの出会いなどが印象に残りました。2025/02/03
あすなろ
90
人生の旅に於ける人々との出逢いがテーマとして編まれている感ある本巻。誰でも出逢う教師からの教えに始まり、やはり圧倒的印象を受けるのは美空ひばりと高倉健の各エッセイである。特に健さんのエッセイは長めで、僕が好きな愛と青春の旅立ちが健さんもお好きだった事、僕のアイコンに使用させて頂いている鉄道員の撮影時の溢れ話等、嬉しさに尽きない話が沢木氏の筆で描かれる。そしてまたまた酔わされた。2巻分連続して読了した後に読者である僕が思うのは、3巻は出ないのであろうかという事なのである。また再び酔わされたいのである。2025/02/15
piro
25
エッセイ集『銀河を渡る』文庫化の第二弾。沢木さんが関わった人達とのエピソードを中心にまとめられています。各界の著名人を含む多くの人との関わりが、沢木耕太郎という唯一無二のノンフィクションライターを創り上げてきたのだなぁ、という事が感じられる一冊でした。『いのちの記憶』で語られる子供という存在への思いにジーンとする。週に一回、水曜日だけの楽しみを綴った『この季節の小さな楽しみ』はまた別の温かさを感じる。そして高倉健さんとのエピソードは、とても興味深いと共に、健さんのカッコ良さに惚れ惚れしました。2025/03/08
hippos
19
「教訓は何もない」「極楽とんぼ」がよかった。特に編集者太田氏との関係に触れた「極楽とんぼ」が染みる。お世話になった編集者への感謝が滲み出る文章と死後に託された句集について考えるとき、故人への哀惜が伝わってもの悲しい。2025/04/06
ストラスブール
9
大好きな沢木耕太郎氏のエッセー。沢木耕太郎氏を作った出来事が綴られております。好きだったのが「最初の人」と「ふもとの楽しみ」。「最初の人」は沢木氏の大学時代の恩師。そして「ふもとの楽しみ」は作家・田辺聖子夫妻との交流についてのお話。今50歳を手前にして若い人を勇気づける事が出来ているかを「最初の人」では感じました。また「ふもとの楽しみ」では田辺聖子氏のエッセーでなんでみんなてっぺんを目指すのですか?ふもとにはふもとの楽しみがあるのにというフレーズが印象的でした。含蓄のある言葉に色々と考えさせられました。2025/04/05
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