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内容説明
『土 地球最後のナゾ』で河合隼雄賞受賞を受賞した著者による、書下ろし最新作!
〔前書きより〕
「土とは何なのか?」「なぜ生命や土を作ることができないのか?」という本質的な問いをあいまいなままにしておくことはできない。46億年の地球の歴史を復元し、豊かな土と生命、文明を生み出したレシピを明らかにすることがこの本の目的である。
生と死は、生物と無生物は、土でつながる。多くの陸上生物は土から命の糧を得て、やがて遺体は土の一部になる。つまり、土も変化する。土が変われば、そこで生きられる生物も変化する。40億年の相互作用の中で、地球は次の時代の主役となる生物に適した土壌を用意する。土に居場所を見つけた生物は生存権を得て、さもなければ絶滅してきた。途中でレースを降りた恐竜の化石とは違い、土はいつも陸上生物のそばで並走してきた。土は、地球の変化を見続けてきた“生き証人”としての顔を持つ。
どうだろうか。もし、足元の土が実は生命誕生や私たちヒトをも含む生命進化、今日の環境問題の根っこにまで大きく関わる46億年にわたる壮大なストーリーを教えてくれるとしたら。もう恐竜の化石にすべてを任せておくわけにはいかない。身近にありながら、普段はあまり注目されることのない土だが、私たちは土なしに繁栄していなかっただろうし、いまだに人類が人工的に作れない複雑で神秘的な力を秘めている土が未来を照らす一条の光となるにちがいない。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mae.dat
280
余りにも身近過ぎて見落としていることが満載でした。タイトルの第一印象は「話を盛り過ぎていませんかねぇ」と思いましたが、全くそんな事はなくて。土(の前駆体)が無いと生命が生まれない。少なくとも生まれ難そうだし、生命が土を作り、土が生命進化を促している。そして進化した生命が土を改変させてね。生命と土の共進化がエグい。日本は資源が乏しい事を習いますが、淡水とか腐葉土とか、循環型の資源は寧ろ大国と言えるのではとか思ったり。知らずして土への依存度を高くしている事。循環システムを考えなくてはならないのかもと。2025/06/28
アキ
106
土と生命は、どれだけ科学技術が発達しても作ることができない。土とは何か?砂と粘土と腐植の混合物と定義すると、生物が生まれないと土は出来ないことになる。しかし、その生命誕生に粘土が大いに関わっていたと考えられている。陸上に土ができたのが5億年前、4億年前にはミミズの化石が発見されている。大さじ一杯の土には細菌100億個、1万種類いるとされる。生命を育む土が、人間により失われつつある。本書は、土と生命の成り立ちと歴史だけでなく、人工土壌を含めて将来人間が生き伸びるための方策を展望している。良書です。2025/04/24
ゆいまある
83
話題になってる気がしたから読んでみた。て、手強かった。土とは何か。地球誕生から現在まで地球がどのように変化してきたかの知識が求められる。地学の勉強してこなかったので前半苦戦。その後も元素や化学式が容赦ない速度で出てくる。多分1割も理解できてないと思う。己の無学が悔やまれる。人が作り出せないもの。土。無機物と有機物、ウイルス細菌昆虫ミミズ様々なものが影響し合っている。何億年もかけて作られた地球環境を我々は破壊しようとしてるんでないだろうか。人が減った大地を地衣類が覆い、ゆっくり土に還る光景を思い浮かべた。2025/08/15
tamami
79
藤井さんの著書はこれで3冊目。本書も含めて、どれも楽しませてもらった。本書では、単なる草木の培地くらいに思っていた「土」が、全生命の源であり、海洋、陸地、生物の間を取り持ち、それらの安定と循環を促し、五億年にも渡る進化の過程を司っていたという記述に驚くばかり。「それなのに我々は、土のことをほとんど知らない。」という著者の言葉に納得するとともに、毎日目にする「土」たちの光景が一変させられる。たかが「土」などというなかれ。恐竜の絶滅に関する異説の紹介や、ミミズの大地における役割の詳説など、興味深い事柄が一杯。2025/02/14
やいっち
74
テーマは、「現代の科学技術をもってしても作れない二つのもの、「生命」と「土」。その生命は、じつは土がなければ地球上に誕生しなかった可能性があるという。そして土は、動植物の進化と絶滅、人類の繁栄、文明の栄枯盛衰にまで大きく関わってきた。それなのに我々は、土のことをほとんど知らない。」 2025/08/05
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