岩波新書<br> 力道山 - 「プロレス神話」と戦後日本

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岩波新書
力道山 - 「プロレス神話」と戦後日本

  • 著者名:斎藤文彦【著】
  • 価格 ¥1,056(本体¥960)
  • 岩波書店(2024/12発売)
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  • ISBN:9784004320463

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内容説明

空手チョップを武器に外国人レスラーと激闘を繰り広げ,戦後日本を熱狂させた力道山.大相撲から,アメリカで大人気を博していたプロレスへ転じ,テレビの誕生・発展とともに国民的ヒーローとなった.神話に包まれたその実像とは.そして時代は彼に何を仮託したのか.長年にわたる取材の蓄積と膨大な資料を駆使して描き出す.

目次

はじめに──力道山とは“だれ”だったのか
第1章 大相撲にかけた自己実現──“日本人化”の葛藤と挫折
 「プロ・レス」から「プロレス」へ
 大相撲=“日本人”としての地位=富と名声
 初めての負け越し、そして終戦
 戦後、初入幕
 横綱・羽黒山との激闘
 故郷の分断とアメリカ文化への傾倒
 突然の断髪
 断髪をめぐるさまざまな憶測
 相撲から学んだ人生のメタファー
 “長崎県出身”というプロフィール
 “出自”を追ったふたつの文献
 「深層海流の男」──牛島リサーチから
 「力道山の真実」──井出リサーチから
 少年時代を知る人物の証言
 “生年月日”は永遠のミステリー
 日本国籍のパスポートでアメリカへ
第2章 プロレスとの出逢い──ヒーロー誕生前夜
相撲廃業から建設会社勤務へ
 不発に終わった相撲復帰プラン
 プロレスとの遭遇をめぐる“定説”
 演出された“出逢い”のエピソード
 ブランズ興行初日を観戦していた力道山
 “定説”と『毎日新聞』記事との矛盾
 だれが力道山をプロレスに勧誘したのか
 ヒーロー物語から消された(?)GHQの影
 アメリカのプロレス界の日本市場調査
 プロレスラーとして“仮デビュー”
 力道山をプロデュースした男たち
 “九州”の先輩、元小結・九州山
 アメリカ武者修行の壮行パーティー
 もうひとつの“非公式”な会合
 力道山の理解者、永田貞雄
 プロレスという“西洋相撲”
第3章 「日本のプロレス」の誕生──ヒーローはどのようにつくられたか
ハワイでの力道山育成プラン
 黒のロングタイツがトレードマークに
 “空手チョップ”の開発
 “悪役ジャップ”を演じなかった力道山
 丸一年を迎えたアメリカ武者修行の旅
 力道山以前の日本のプロレス文化史
 プロレスのもうひとつの源流“プロ柔道”
 メディアをコントロールした力道山
 プロレスを「殴る、蹴る、打つ」と説明した力道山
 日本プロレス協会発足
 「力道山レスリング練習所」完成
 ハワイで世界王者テーズに初挑戦
 “民放テレビの父”正力松太郎
 力道山と接触した戸松信康プロデューサー
 プロレス番組放送に向けて
 プロレスに対して懐疑的だった『朝日新聞』
 テレビとともに始まった“プロレス元年”
 シャープ兄弟の初来日
 街頭テレビに黒山の人だかり
 試合結果に隠されていた“あるヒント”
第4章 昭和巌流島の決闘──力道山はなぜ木村政彦に勝たなければならなかったのか
相撲にも柔道にもない“タッグマッチ”
 力道山のプロデューサーとしての才覚
 対談記事にみる力道山のプロレス観
 力道山の相撲観
 プロレスラー力道山の国際的感覚
 プロレスの“むずかしさ”
 “プロレス元年”に力道山、木村派、山口派の鼎立
 新パートナーの起用と新人のデビュー
 木村が力道山に挑戦表明
 不自然なほど短期間で正式決定した「日本選手権」
 「力道、木村をけり倒す」
 “残酷な結末”と“やるせないあと味”
 「両雄並び立てぬ力道山と木村」
 木村が語った“真相”
 “定説”をくつがえした木村証言
 力道山の策略だったのか?
 力道山に“三回”敗れた木村
第5章 「力道山プロレス」の完成、そして突然の死
山口利夫との日本ヘビー級選手権
 元横綱・東富士がプロレス転向
 “横綱レスラー”の全国巡業
 キング・コングとアジア選手権
 TBSがプロレス中継に新規参入
 “世界一周の旅”というイメージ
 シャープ兄弟が再来日
 日本王座、アジア王座、そして太平洋王座
 力道山の“ワンマン体制”発足
 日本テレビがプロレス番組レギュラー化を企画
 新番組『ファイトメン・アワー』放送開始
 日本プロレス─日本テレビ─三菱電機の超強力チーム誕生
 “鉄人”テーズ、ついに初来日
 テレビ放送をめぐるギリギリの“攻防”
 “六十一分時間切れ”の引き分け
 力道山─テーズ戦の全国巡業
 “大どんでん返し”の予感
 力道山「世界王座獲得」のニュース
 インターナショナル王座の“出自”
 映像に残されなかった歴史的一戦
 “至宝”インターナショナル王座
 ラストシーンの足音
 テレビ“ショック死”事件
 極秘の韓国訪問
 板門店“北緯三十八度線”に立った力道山
 “空前”の結婚披露宴
 運命の日
 一九六三年十二月十五日、力道山死去
 力道山のいないプロレス
主な参考文献
あとがき──At the end of the day

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

nonpono

76
朝鮮半島から相撲にスカウトされた青年の流転。差別か金銭問題で相撲協会を自分で髷を切り去って新しいプロレスへ。いつのまにか日本が出身地になる青年。アメリカへの修行、実況で有名な田鶴浜さんを始め、限られた記者からの限られた情報。青年の名前が誇大化するが、強くなっていく青年。だけど、わたしは誰もいない韓国料理屋で独り韓国料理を食べながら酒を飲み、故郷の歌をくちづさむ青年の孤独が沁みる。孤独が酒量を増やすのか。力道山になっての名声と富。馬場と猪木という弟子、そして突然の死。駆け抜けた、駆け抜けすぎた一生に献杯。2025/04/07

nishiyan

13
日本プロレス界の父であり、戦後日本を代表する国民的ヒーローである力道山の評伝。複数の生年月日がある謎、当時の植民地朝鮮の状況を絡めながら相撲界入りまで経緯、プロレスデビューのきっかけとされる定説を含めた神話を一つ一つ検証した点は面白かった。相撲界出身であったことから先輩の支援、政財界に深い人脈を持ち、米国での修行を経て帰国してからのプロレス興行の成功に結実したのは興味深い。また対談記事から読み解いた力道山のプロレス観はこの時点でプロレスにつきまとう八百長疑惑といった問題点が提示されていたのは気になった。2025/01/02

電羊齋

12
力道山について特にプロレスデビューまでの経緯が丁寧に記されている。面白いのは、当時の対談記事などから力道山の持つプロレス観を指摘している点で、そこに「八百長」論とそれに対する反論、プロレスの暗黙のルールなどその後のプロレスでの主要な論点がすでに現れている。またこれまで力道山とプロレスとの出会いのきっかけとされてきた日系レスラーハロルド坂田との喧嘩のエピソードなど、これまでの「神話」や「定説」に疑問を呈しているところも読み所。デビュー前からすでに米国、政財界との人脈が太かったのも興味深い。2024/12/31

fseigojp

10
木村政彦は日本における総合格闘技の父だった2025/01/12

suma2021

9
戦後日本のスーパースターを様々な文献からその人間像を導き出す。なぜあれほどまでに世間を熱狂させたのかを時代背景から導いている書籍。スポーツマンというより自己プロデュース力や組織のリーダーシップを考えさせてくれる内容。当時からミスター高橋の本が出るまでの間の日本とアメリカのプロレス感の相違を考えると興味深い2025/10/13

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