内容説明
日常にひそむ社会の問題を、自らのことばで表現し続けるブレイディみかこのエッセイ・アンソロジー。若い人たちに向けて、地べたからの視線の強さと深さを味わう15篇を精選した。今、あなたの足元にはどんな問いが立っている?
目次
◆はじめに/◆プロローグ 花の命はノー・フューチャー/Scene1 子どもの情景/子どもであるという大罪/ガキどもに告ぐ。こいのぼりを破壊せよ/RISE 出世・アンガー・蜂起/Scene2 地べたからみた社会/石で出来ている/君は「生理貧困、ミー・トゥー!」と言えるか/Scene3 英国という鏡/ヨイトマケとジェイク・バグ/どん底の手前の人々/Scene4 地べたからみた世界/キャピタリズムとは/ウーバーとブラックキャブとブレアの亡霊/歴史とは/Scene5 他者の靴を履いてみること/誰かの靴を履いてみること/エンパシーの達人、金子文子/自分を手離さない/◆エピローグ おりません、知りません、わかりません/◆おわりに/◆出典一覧/◆次に読んでほしい本
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とよぽん
61
ブレイディみかこさんが10代の若者に向けて発したアンソロジーとのこと。だが、これは大人にも十分読み応えのある本だと思う。これまでの著書や小説に書かれたことのエキスを、この1冊にまとめている。現代の日本社会の歪みをこれでもかというほど指摘し、次代を担う若者に自分の頭で考えて行動することの大切さを説いているのだ。回転の速い記述にブレイディみかこさんの声が乗って聞こえる感じがした。2025/01/21
yumiha
40
図書館検索機が児童書コーナーの棚を指し示していた本書。ふむふむ。「ちくまQブックス」って、「10代のノンフィクション読書を応援」ちゅうコンセプトなのねん。かつて「一億総中流」なんて言葉が大手を振っていた時代にも、「地べた」の人々はいた。本書は、そんな地べたの人々のアナーキーさや相互扶助に触れている。8冊のブレイディみかこ作品を既読の私は、ああ、あの本に書いてあったことだなと類推しながら読んだけれど、初読の中高生はどうなんだろう?2025/02/07
読特
40
靴を脱いで絨毯に乗る。絨毯は空を飛び必要なところに連れて行ってくれる。いつか魔法は切れ、地に落ちる。学校は卒業し、職場は定年し、国も衰退する。乗っかる生き方はもうできない。自力で地べたを歩くしかない。…問いを立てて探求する力を磨く。いや、問いは立てるではなく、立ってくるもの。湧いてくる疑問で靴を履いておこう、自分の足で歩けるために。…ちくまQブックスは中高生向けのアンソロジー。関心の持てない授業はサボり続けた作者のエッセイ集を読む。大人にとって都合のよい子になるなと、セーラー服姿の彼女が仁王立ちしてる。2024/11/18
たまきら
37
地べた、とはこの場合貧しい立場ととらえてもいいだろうし、何も支えてくれるものがいない孤独な、すっからかんの状態ととらえてもいいと思う。江戸落語とパンクロックを好んで大人になった自分には、この作家さんに共感できる部分が多くある。同時に、彼女の真っ当な怒りがつづられた書籍をこれだけ多くの日本人が読んでいるのに、変わらぬ現状を不思議だとも思う。それでも、微力でも無力ではないーそう思って声をあげ続けるしかないと思う。14歳、もっと叫べ!2025/02/03
vodka
9
ブレイディみかこさんのエッセイ・アンソロジー。初めてプレティーさんの文章にであった「ぼくイエ」がやっぱり好き。シンパシーとエンパシーの話。こうしてモノを書く人は、自分の思考の軌跡を残しておけていいなぁなんて思ってしまった。自分も書けばいいんだけど。2024/11/26