しゅうまつのやわらかな、

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しゅうまつのやわらかな、

  • ISBN:9784046067982

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内容説明

忘却と喪失。停滞と安寧。異端の言語感覚で綴られる、過ぎ去った日々の心象。
随筆。小説。詩。日記。変幻自在に境界を超える筆致が織りなす待望の随想集。


装画:つくみず
装丁:名久井直子


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小さなころの夢は石になることで、いま夢みるのも石になること。
もの言わず、もったりと、ただそこにあるだけのものでありたい。
水と風に磨かれて、つやつやしたからだにひかりを溜めていたい。
ときどき拾われて、飾られたり投げられたりするのも、悪くない。
むきだしのみじめさを武器にも鎧にもしないで、そこにありたい。
『石の日』より

……きっと、何者にもなれない。そんな言葉を聞いて、煮物にもなれない、と思った。
何者にもなれない、という十の音のつらなりは、その九つを煮物にもなれないが占める。
『煮物にもなれない』より

ことばはすべて、こころの翻訳だから、決して明かされない秘密を持っている。ちょうど湖の水を手にすくいとったとき、手の中の水はもう湖ではないように、そんなふうにしかことばをあつかうことはできないのだと、しずかにあきらめている。
『コンサバ』より

深淵をのぞくとき深淵もまたひとりぼっち。しーん。えーん。
『めそめそメソッド』より

神は細部に宿るのではなく、細部を見つめる視線に宿る。
それか、細部にすました耳に。こまやかさをこぼさないよう、ふるえる手つきの中に。
『ゴッホとズボン』より

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kana

14
浅井音楽さんのことを何も知らなかったけど、題名と装丁の雰囲気に惹かれて、ほぼジャケ買い。その感覚は誤っていなかったようで、最後まで共感しすぎて頷きっぱなし。心が掬われて救われるような一冊。時々引用フレーズがさしはさまれるのですがペソア「不穏の書、断章」、リルケ「マルテの手記」は私も大好きでそこも気が合ってうれしい。言葉への鋭敏な感覚の代償なのかままならない繊細な感情の機微を抑え込むのではなくて「石の日」と名付けたり「めそめそメソッド」で処理したりしてやり過ごすのは素敵なことで、真似しようと思いました。2025/05/25

たかはし

3
短編集。不可思議ながらゆるい作品の数々に和まされる。読むほどに脱力していく感覚になり心地よかった。2025/03/02

🦀

3
日曜日にポムポムプリンを投げてるツイッタラーの本。エッセイと幻想文学と冗談を足して3で割った結果、エッセイと幻想文学の部分にも冗談が多過ぎて結局冗談みたいな内容。ところどころ素敵なユーモアの言い回しはあれど、どこまで行ってもXでウケる雰囲気のポストの繰り返し、もしくは引き伸ばしみたいな文章がずっと続くので、申し訳ないが特に後半は眠くなる読み心地だった。ゆるっと本読みたい人におすすめ。2025/02/23

ねこまる。

3
浅井音楽さんのポストが好きなので、エッセイが出ると聞いて迷わず買った。色んなことに思いを巡らせている人の書く世界って綺麗だし、惹き込まれる文章だと思った。劇的な何かが起こっているわけじゃなくて、なんてことない日常が描かれている。社会ではタイパとかコスパとかいう言葉が流行っている日々。だけど何か偉大なことを成し遂げなくたっていい。何もしない日があってもいい。そんなふうに認められている気がした。ぽかみを感じる1冊。2025/02/14

アイリス

3
普段エッセイとか読まないのに何故か気になって読んだ。忙しさの中で忘れそうになっていたことを思い出せた。心と体がキツくなるほど頑張りすぎる必要なんてないんだよなぁ…。2025/01/27

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