デザインにできないこと

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デザインにできないこと

  • ISBN:9784802512473

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内容説明

デザインに失望したと感じているなら、この本はあなたのためのものだ。

デザインに蔓延する〈幻想〉と〈幻滅〉を解きほぐす歴史的調査:デザインは「再発明」されたのか?──デザインスタディーズ界隈で大きな話題をさらった書、待望の邦訳。

デザインは壊れている。若いデザイナーも、それほど若くないデザイナーも、そのことをますます認識しつつある。多くのデザイナーたちは無力感を抱いている。デザインというツールで世界をより良い場所にできると思っていたのに、実際にはその世界に苦しめられている。誇大広告と大胆な主張という煙幕の向こう側には、自信喪失と燃え尽き症候群という不毛の地が広がっている──ミレニアル世代にとっては当たり前のことかもしれないが、こうした感覚はデザイン文化によって強められている。

本書では、デジタルによる半自動化によって引き起こされる専門技術の解体、美術館・博物館や教育機関を満足させるために作られた装飾的な政治の実例、デザインスクールにおける曖昧な約束といったテーマを掘り下げ、デザインへの幻滅の歴史を多様な専門家の言説を手がかりに紐解きながら、現代のミームやソーシャルメディアにあふれるデザインへの暴言にも向き合う。

「世界を変えられる」と大きな期待を寄せられたデザインという魔法は、本当に世界をより良く変えたのだろうか。デザインがみんなのものになったのだとしたら、デザイナーの立場や役割が変わったのだろうか。拡がり続けるデザイン分野を総覧し、デザイナーが抱えるフラストレーションを検証し、デザインの純粋な可能性を探る一冊。

目次

プロローグ:スターターパック

第 1 章|中間層

~ 第 1 部 期待 ~
第 2 章|すべてのものと人が一緒に(エブリシング・エブリワン・オール・アット・ワンス):デザイン・パニズム
第 3 章|統合と自律の複雑な関係
第 4 章|会議のテーブルをひっくり返す:権力と無力さについて

~ 第 2 部 現実 ~
第 5 章|形態はフォーマットに従う:セミオートメーションと文化的プロフェッショナリズム
第 6 章|新たな差異としての批評性:装飾としての政治とスキルとしてのアイデンティティ
第 7 章|現実世界としての学校:願望と妥協について

エピローグ:レイジクイット

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Go Extreme

2
デザイン・幻滅: 幻滅は単なる失望ではなく期待と現実のギャップを埋める思考機会 デザイナーは自立と依存の間で揺れ業界の影響を受ける デザイン批評: 批評は肯定だけでなく厄介な要素も含む 商業的圧力の中でデザイナーは常に再発明を求められる 資本主義: デザイナーは市場の変化に適応・自己成長と役割の再評価必要 市場の要求に従わざるを得ない→社会的な力持ちにくい 教育: デザイン教育→現実と期待のギャップ 人文的価値観の強化が重要 文化的側面: 技術+文化的影響も考慮 デザイナーー倫理的責任・社会に貢献する役割2025/02/02

タカギ

2
デザインに絶望し途方に暮れるものに、救いを提供するという本ではない。基本的に。 ただできないことから翻って、デザインのもつ強大な力や、干渉を受けない浸透力、肯定的な妥協など、悲観的な視点だからこそ浮かび上がるデザインの価値がその辺のデザイン書よりも眩しく映る。 耳の痛い言葉も多いが、リアリストな側面をもつデザイナーのきっと支えになる本のように思う。2024/12/03

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