内容説明
菅原道真に恩義を受けた三つ子、梅王丸・松王丸・桜丸が主君への忠義との間で葛藤する。書道の奥義、親子の愛憎、寺子屋の悲劇。歌舞伎や文楽で今も愛される名作浄瑠璃を血の通った名訳で。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ポチ
41
しをんさんらしい現代語訳の浄瑠璃。菅原道真が貶められ雷神となるまでを恩や忠義、情、人の心の醜さなどを交え一気に読ませてくれました。2024/12/29
ちえ
39
来月母と行く歌舞伎の予習。三浦しをんさんの訳はぶっとんだ部分もあるけれどこれなら楽しんで読めるわ。以前文楽と歌舞伎でも有名な寺子屋や車引きは観ているけれど、こうやって全体を読むと『菅原伝授手習鑑』という題名の意味もよく分かるし、今でも菅原道真が昔から人びとに親しまれていたのが伝わってくる。最後の大内の段はめちゃめちゃ面白いの、それなのになかなか観る機会が無いのは残念だなぁ。2025/08/21
マホカンタ
29
文楽でも歌舞伎でも観たことのない『菅原伝授手習鑑』。だけど、しをんさんが訳すというなら読まないわけにはいかないでしょうと手に取ってみた。菅原道真が天神さまと崇められるまでのいきさつを描いているのだが、訳ならしをん節は控え目か?という思いはよい意味で期待を裏切られます。だって、きっと他の人なら『ガバチョ!と恋のアクロバット』とか、『誤認逮捕しようとしちゃった、ごめんね』なんて訳してないはず(笑)。この訳で是非とも義太夫節を聞きたいのですが、それなら間違いなく文楽を観に劇場いくのですが、無理ですか?2025/07/13
ヨーイチ
27
河出文庫・古典新訳コレクション31とある。浄瑠璃の元本は学生時代に一応読了。新米の歌舞伎ファンとして頑張って入手した物。残念ながら文楽は未聴。筋は知ってたけど、改めて「新訳」に触れて印象、解釈が鮮明になった。ありがたいことだ。ご存知の通り歌舞伎公演では「寺子屋」とか一場面だけ上演されることが多いので、登場人物の背景などは(これがまた入り組んでいることが多い)置き去りにされることがある。でも歌舞伎でも文楽でも表現者の大元は「原作」にある筈で知っておいた方が良い。少し視点を変える。続く2025/10/24
びぃごろ
17
「日本文学全集10」から抜粋され文庫化される。池澤夏樹編集のこの全集、出た順に読むぞと思っていたが、未だ2冊しか完読出来ていない…あの厚い本も文庫として一つずつバラけると手にはしやすいが、「読んだー!」という達成感は薄れるなぁ(笑) 通しでもなかなか上演のない四段目「天拝山」「北嵯峨」五段目は文楽で観たいものだ。国立劇場を改修するまで開放できないものか…しをんの口語訳は楽しい。文庫版あとがきもあり。人格不統一よりも藤原時平がトキヒラとルビがあったり、シヘイと読ませたりする方が気になったよぅ。2025/01/25
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