内容説明
あなたのことは、最初から疑っていました──大人気漫画家を殺してしまった週刊漫画誌の担当編集者、悪徳芸能プロモーターを手にかけた歌謡界の“元”スター、裏切った腹心の部下に鉄槌を下した人気タレント文化人、過去を掘り返そうとする同僚の口を封じた美大予備校の講師……。彼らは果たして、いつ、何を間違えてしまったのか。罪を犯した者たちを、死神めいた風貌の乙姫警部がじわりじわりと追い詰めていく。〈猫丸先輩〉シリーズや『星降り山荘の殺人』の倉知淳が挑む、〈刑事コロンボ〉の衣鉢を継ぐ大人気倒叙ミステリシリーズ!/【目次】愚者の選択/一等星かく輝けり/正義のための闘争/世界の望む静謐/解説=千街晶之
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
樋口佳之
41
ん~、主人公たちの人間ドラマを一切排した場合の倒叙の面白さって、犯人側の用意したもう完全に見えるパズルが、ひたすら探偵側の論理の力のみによって覆っていく所にあると思うのですが、多少の幸運が助力しているような気がしました。そこが突破口になるだろうって部分が読めてしまう部分もあり…。/一等星かく輝けりの変装に関わる推理の下りが良かったかな2025/05/16
coco夏ko10角
21
第2弾、4作収録。乙姫を見たときの表現がバリエーション豊富で面白い。話は最初と最後が特によかった。これも続いて欲しいシリーズ。 愚者の選択/一等星かく輝けり/正義のための闘争/世界の望む静謐2025/04/11
ま~くん
21
主人公乙姫警部はとにかく素晴らしいキャラクターだった。倒叙物では福家警部補と碓氷優佳にも負けず劣らず。ただストーリー云々より事件解決の核心追い込みが「それは安直に過ぎるだろう」という作品があったのは残念だった。「正義のための闘争」は犯人の追い詰め方が素人でも見破られそう。「世界の望む静謐」も極めて特殊な解決の仕方だった。「一等星かく輝けり」は単なる偶然に助けられた印象。言い換えればそれだけ犯人の仕込みが周到だった訳だが、それだけに乙姫警部の追い込み方にもうひと工夫あって読者を唸らせて欲しかった。辛口御免。2025/03/03
bayashi
20
死神刑事の倒叙短編シリーズ2作目。全編通して倒叙モノによくみられる「最初から犯人だとわかっているとしか思えないへばりつき方」にちゃんと理由を持たせてあり、白状した後にそこの答え合わせが入るので二度おいしい。やりとりも紳士的でありがたい。見た目の例え描写もくどいを通り越してだんだん笑えてくる、冥界の頭蓋骨数え唄ってなんだよ。短編個別に見てもどれも面白かったがひとつ挙げるなら「一等星かく輝けり」、この足の着き方こそ倒叙の醍醐味。2025/04/04
numno1
11
死神のような外見を持つのに名字が「乙姫」な警部の第2段。本作も倒叙ものの王道で良かったです。乙姫警部が昭和の歌謡曲からコミケの壁サークルまで精通しているのは綿密な事前調査によるものなんでしょうが、基本的にシリアスなトーンの中でちょっとした笑いのポイントになっている気がします。2025/06/22